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女王蜂



 金田一耕助=石坂金田一 × 市川崑監督シリーズの4作目です。横溝正史原作らしい、戦後まもない時代の都会から離れた歴史のある大屋敷が舞台で、複雑な人間関係の人々が織りなす因縁と哀愁漂う殺人事件を、ぬぼーっとやってきた私立探偵金田一耕助が解き明かすものがたりです。そして毎回、謎は解き明かしますが、連続殺人事件は食い止められずに、もっと僕が早く気づいていればと、自己嫌悪に陥るパターンとなっています。 この作品も、定番路線を踏襲し、殺人事件の裏にある重く深い謎を楽しめる物語となっています。

 時は昭和7年、場所は伊豆の山奥の月琴の里、伝説を求めた旅行をしている京都の大学生日下部と速水銀造(仲代達也)は、大道寺琴絵(萩尾みどり)の家に泊まり旅行を満喫して琴絵と別れた。それから、三か月後、再び日下部は琴絵に会いに来ていたが、それは琴絵が身ごもり、その結婚が親に許されない日下部からの別れ話であった。そして、話し合いに同席していた琴絵の家庭教師神尾秀子(岸恵子)が席を外した合間に、日下部が撲殺される。しかし、その後崖から事故で落下死した日下部の遺体が収容される。事故を目撃したのは、家庭教師の神尾であった。

 それから20年後、大道寺家は、速水銀蔵が当主となり、日下部と琴絵の間に生まれた智子は19歳の誕生日を迎え、当主銀蔵が京都へ智子を引き取るために、月琴の里に訪れていた。また、智子へ求婚する3人も、3人のうちから一人を智子に選択してもらうために銀蔵と同行していた。そんな時、屋敷の時計台で、智子は遊佐の撲殺遺体を発見し、さらにその部屋で見知らぬ多門と名乗る男(沖雅也)と遭遇することになる。やがて警察と金田一耕助が訪れる。金田一は、19年前の事故に関係して智子の周辺の男に災いが起こる、という警告文を受け取った京都の弁護士から調査を依頼されていた。いよいよ、謎めいた惨劇事件の始まりです。

 出演者は、当主銀蔵に仲代達也さん、渋く目で表現する演技で映画に重みを与えます。19歳智子に中井貴恵さん、デビュー作のため演技がたどたどしいのは仕方ないですかね。智子の家庭教師神尾秀子には岸恵子さん、大道寺家と智子に忠実なため闇の部分も知り尽くし、銀蔵との仲を暗示するかのような行動もあり、見ている側を惑わせる存在となっています。怪しい現場に現れる謎の多門連太郎には沖雅也さん、爽やかすぎて怪しさを微塵も感じません。

 それから、金田一シリーズは、3という数字がよく使われます。1作目「犬神家の一族」では、犬神家の第一遺産相続女性を巡る3人の婿候補が、犬神家家宝「斧、琴、菊」になぞり殺人事件に巻き込まれます。2作目「悪魔の手毬歌」では、手毬唄になぞり3人の女性、3作目「獄門島」では、3つの俳句になぞり三姉妹が同様に巻き込まれます。4作目「女王蜂」では、智子の3人の婿候補が登場して、彼らがターゲットとなるであろうと予想されますが、どちらかと言うと1~3作目で重要な役割を果たした、高峰秀子さん、岸恵子さん、司葉子さんの3人が登場することにインパクトが強く、どのように物語に絡んでくるのかに興味が、そそられました。

 そして、脇を固める俳優陣がいいです。すぐに手をたたき分かったと結論づける等々力警部役の加藤武さん。今回もピエロ的な存在でありながらラストでは、この人凄いと思わせるシーンもあります。金田一に調査を依頼する加納弁護士に大滝秀治さん。大道寺家に招かれたことがある劇団俳優嵐三郎に三木のり平。その妻に草笛光子さん。そして20年間この事件に関わる山本巡査に伴淳三郎さん。ベテラン勢が登場するだけで、そのシーンが、名シーンになってしまうのは流石ですね。また金田一をリアカーに乗せる農夫の常田富士夫さんや宿屋女中の坂口良子さんも、わずかなシーンですが、重々しいストーリーに、クスッとした笑いを与えてくれる存在です。

 物語は、両親の謎を知りたいと願う智子に少しずつ漏れてくる真実と悪意、20年前に殺害された日下部一家と銀蔵との本当の関係など、因縁めいた人間関係とその想いが見え隠れするなか、その事実を封印するために殺人事件が続き、最後に金田一耕助の真相説明の探偵モノ定番の流れとなっています。探偵モノ映画として安心して楽しめる作品です。

1978年日本作品。138分。
・監督:市川崑
・出演:石坂浩二、中井貴恵、仲代達也、岸恵子、司葉子、高稲秀子、加藤武
・原作:横溝正史
・脚本:日高真也、桂千穂、市川崑
・音楽:田辺信一

 
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