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そのときは彼によろしく



 アクアブランツ店「トラッシュ」を営む遠山智史(山田孝之)の前に、スタイルの良い女性が現われバイトを懇願して勝手に店に住み着いてしまう。智史は気が付かなかったが、実は彼女は有名なモデルの森川鈴音で、さらに智史の幼馴染の花梨(長澤まさみ)であった。やがて智史は、彼女が花梨であることに気付くが、もう一人の幼馴染佑司が事故で意識不明であることを知り、二人は佑司の元に向かう。そして花梨はそのまま佑司の所に残ることを智史に伝えるが、花梨には智史には明かせない秘密があった。

 雪のちらつく中、小さなアクアプランツ店「トラッシュ」の前のベンチに座る一人の女性。ふと視線を彼女に向ける智史が、視線を戻し店の中に入ろうとすると、すっと立って声を掛けるモデルのような容姿の女性。「ここあなたのお店?」、「わからない?私が探しているもの、わからない?」。そして見つめあう二人のアップとなり、少し微笑む彼女。でも「水草ですか?」「あっ、水槽?」と答える智史に、表情と態度が変わる彼女。このなにかあるのだろうな、な感じから入り、ところどころに意味ありげな素振りを見せる彼女とどうも的外れな智史の関係がなかなかいいです。見ている側は、小学生くらいの二人の男の子と一人女の子の回想シーンらしきものが現在と交互に挟まれるので関係は直ぐにわかりますが..。この小学生たちのシーンは、小さな池のほとりの森に隠れるように遺された古いバスとそこに住み着いた老犬。この少し異次元な空間で、バスの後部座席にぶかぶかのアーミー服を着て、ランドセルを枕に寝ている美しい顔をした少女を見つめる少年。気配を感じたのか突然目を覚まし目の前の見知らぬ少年に殴りかかるかのような勢いで「お前だれだ」と詰問する少女。その2人の間に割り込むように入るめがねの少年。これが深い絆で結ばれた3人の出会いとなり、この物語の本当のスタートでもあります。そして現実と回想シーンが交互に織り交ぜられ、智史と花梨が築いてきた信頼関係と決して恵まれた環境で育っていない花梨の今に繋がる心の癒しに智史とその家族が深く関わっていったことがよくわかります。やがて幼馴染の花梨と気付き「やっと分かったよ、君が探していたものを」と伝え、嬉しそうに楽しそうに花梨との時を過ごす智史。でもときどき暗い顔が見え隠れし、哀しそうに智史を遠くから見つめる花梨への不安が伝わってきます。そしてもう一人の幼馴染の祐司の消息が判明しますが、それは本人からの電話ではなく、佑司の彼女からの悲痛な電話。久々に出会う佑司は交通事故で意識不明状態。これもものがたりの伏線なのです。そして花梨の身にも、恐怖の眠りと夢の世界が訪れてしまいます。

 世間離れして、どこかおどおど、でも水草のことになると自然と弁が立つ。そんな智史を回りは好意を抱いてしまう。そんな人物像が普通に存在してしまう山田孝之さんの演技はいいです。そして有名モデルの森川鈴音こと智史の幼馴染花梨に長澤まさみさん。少し小悪魔的で明るい花梨と、時折見せるもの哀しそうな花梨の二面性が、やはりいいです。そして2人の人生に関わるのは、智史に好意を抱く真面目なパン屋さんに国仲涼子さん。優しさに溢れる智史の両親に小日向文世さんと和久井映見さん。智史と花梨の幼馴染佑司に塚本高史さん、その彼女に北川景子さんとなかなかの顔ぶれです。

 そして再び目を覚ますかわからない深い眠りにつく花梨とその目覚めを待つ智史。その時の流れの長さを感じさせる移り変わる様々な出来事が過ぎ去り、やがて何十年も目を出さずに眠るオニバスの種に変化が起こり、そして・・・。

【予告編1】【予告編2】

2007年公開。114分。
・出演:山田孝之、長澤まさみ、塚本高史、国仲涼子、小日向文世
・監督:平川雄一郎
・音楽:松谷卓
・原作:「そのときは彼によろしく」市川拓司
・主題歌:「プリズム」柴咲コウ




<市川拓司原作作品>
市川拓司さんの原作は日常生活の中にある不思議な世界が描かれ、映画化作品も全て好きです。
妻を亡くした親子の前に、雨の日に亡くなった妻が現われる「いま、会いにゆきます」(2004年:竹内結子、中村獅童)。コンプレックスを持つ二人の大学生のカメラを通じた淡く切ない恋物語「ただ、君を愛してる」(206年:宮崎あおい、玉木宏)。

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コメント

こんばんは

市川拓司原作シリーズ、けっこう好きです。
個人的には、『ただ、君・・・』、『そのとき・・・』、『いま会い・・・』
の順で好きです。

Re: こんばんは

私も「ただ、君を愛している」が好きですね。
主人公の静流の可愛らしさと愛おしいさ、そして誠人への想いが自然に伝わる宮崎あおいさんの演技が凄く、市川拓司さんの原作も良いのですが、映画のほうが勝っている作品のひとつだと思います。

三作品とも良質な映画なので、他小説作品の映画化を待っているのですが..。

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