ゴジラ



 太平洋上で仕事の合間の楽しいひとときを過ごす船員達をのせた貨物船。海上の異変に気付き一斉のその方向を見つめる船員達に、一瞬の眩い光が襲う。すぐさまSOSが発せられ、近くを通る貨物船や漁船が救助に向かうが、全ての船からの連絡が途絶える。そして、ただ一人大戸島に打ち上げられた生き残りの漁師は、頑なに口を閉ざし、その島の長老は昔から伝承されている生物「ゴジラ」かもしれないと口にする。
出だしから何か起こったのか予測不可能な展開。近年のアメリカゴジラでも同じような展開で、初代ゴジラから継承されているオープニングです。

 それから暫くして、大戸島を襲う大嵐。高波と暴風雨で家の中にいても激しいい音と揺れに眠れぬ島民たちに、嵐とは異なる重低音の音と振動がさらなる恐怖を与え、突然訳もわからず崩れ落ちてゆく家々。やがて調査団が訪れ無残に破壊尽くされた家屋の惨状を目の辺りし、近くに放射能反応がある大穴を見つける。そこには、絶滅したはずの三葉虫が残されていた。そして突然警鐘が鳴らされ、何事かと山へ昇る人々に、山の合間から顔を覗かせる巨大生物「ゴジラ」。
なかなかテンポの良い流れで、ゴジラの一部だけ見せて、まだ全容を見せない演出がいい。それでも頭部だけでもその大きさがわかる山との比較や、山の上から海岸線を見下ろすと、砂浜に残された足跡と何かを引きずったかのような跡が、さらにその大きさを感じさせるショットとなっています。

 この後は、じわじわとゴジラの全容と迫り来る恐怖。そして排除としようとする人間との戦いが始まります。
まずは遠洋でのフリゲート艦からの爆雷攻撃。闇雲に攻撃ですからその成果も分からずじまい。やがて東京湾でダンスや歌で楽しむ人々を乗せた遊覧船近くに突然現われるゴジラ。ゴジラは何もせず海に戻りますが、確実に近づいています。そして突然東京上陸。縦横無人に東京を徘徊するゴジラ。その強大な体と足で全てのものが踏み潰され、振り回される尾で弾き飛ばされる。通った跡はただただ爆撃を受けたかのような瓦礫の山、山。電車はゴジラの足にぶつかり、くわえられ振り回される。鉄橋や鉄柱もいとも簡単に捻じ曲げられ、恐怖で逃げ惑う人々で多い尽くされる道路。でも人間様も黙っていません。5万ボルトの高圧電線攻撃・・効かずに高圧電線が口から放たれる白熱光でぐしゃり。ならば自衛隊登場。野戦砲、機関銃、攻撃機のミサイル攻撃、戦車隊攻撃・・まったく効きません、強すぎです。とうとう、為す術がなくなり途方に暮れる人々。多くの人が負傷して救護所に入りきらずに外で治療を受ける子供達の映像が流れ、女学生達の「平和への祈り」の歌が流れる。もはや、破壊神「ゴジラ」に太刀打ちできず、絶望的な雰囲気で、後は神に祈るだけか・・。そして一発逆転兵器「オキシジェン・デストロイヤー」の登場、てなわけですが、初代「ゴジラ」は怪獣映画というだけでなく、ゴジラに攻撃をかける人間に怒りを感じる古代生物学者山根博士(志村喬)や戦争で右目を失いひっそりとある研究に没頭して悩む芹沢博士(平田明彦)、船舶会社緒形所長(宝田明)と山根博士の娘美恵子(河内桃子)と芹沢博士との微妙な三角関係などヒューマンドラマとしてもよくできています。そして山根博士の最後の言葉「最後の一匹だとは思えない。水爆実験を続けて行われとしたら、あのゴジラの同類が、また世界のどこかで現われるかもしれない・・」という核を憂う言葉の現実と、これ以降、数多く作られた「ゴジラ」と、まさかハリウッドでも2回もリメイクされる世界の「ゴジラ」になったのは、人々を魅了した初代「ゴジラ」の創出と作品の質の高さでしょうね。

【予告編】

1954年作品。97分。
・出演:宝田明、河内桃子、平田明彦、志村喬、堺左千夫
・監督:本多猪四郎
・特技監督:円谷英二
・音楽:伊福部昭

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