翔べイカロスの翼



 カメラマンを目指し全国を放浪する栗山(さだまさし)は、ふと目に入ったサーカスのポスターに惹かれ、何となくサーカスの門を叩く。最初はサーカスの裏表の写真を撮る目的であったが、一緒に団員たちと生活を共にするうちに、その一員になりピエロになることを決意する。

今は無くなった日本三大サーカスのひとつ「キグレサーカス」の、若くして命を失くした実在のピエロくりちゃんの物語です。映画は、サーカスの派手な表舞台を映し出すだけではなく、集団で地方周りをする実際の生活姿(食事姿、夜のサーカスの姿、個人の生活など)が映し出され、役者さんが演じているとはいえドキュメンタリー要素も含まれ、この映像だけでも面白い。
 そして主人公のカメラマンを目指すもどこか冷めていた青年が、サーカスに触れピエロの存在を知り、苦悩と努力の中で自らがサーカスの構成を練ってピエロとして成長する姿が描かれています。この青年に若かりし頃の歌手のさだまさしさん。映画デビュー作ですから、素人ぽさがあり、映画の中の主人公が新しいサーカスの世界に入るウブな感じとオーバーラップします。そして芸人になるための一輪車や綱渡りの練習シーンの体を張った演技、道化師ピエロになるためのパントマイム練習シーンは、さだまさしさんのリアル練習シーンなんだなと感じ、やがて習得した芸のお披露目やピエロの道化芸は、見事としか言えないですね(どれだけ練習したの)。またピエロという明るい存在ながら、どこか哀しさがちらっと現れるのも、さださんの歌と一緒の表現力の高さかもしれません。そして青年のピエロとしての人生を一緒に築いてくれるのは、栗山を信頼していろいろと任せてくれるサーカス団長のハナ肇さん(クレジーキャッツのリーダーそのもの)、サーカスの世界から外に飛び出したいサーカス団員百合の原田美枝子さん(とにかく可愛い)、その兄の尾藤イサオさん、その祖父の宮口精二さん(ここで七人の侍の久蔵が見れるとは)、栗山を応援してピエロになるきっかけをつくる飲み屋のママに倍賞美津子さん、とがっちり固められて映画としての安心感があります。また音楽をさださんが担当しているため、北の国からの雰囲気が出ているのもどこか面白い(ちなみに北の国からは1981年からテレビ放映)。そして、さださんが歌いこの映画のために作られた「道化師のソネット」が、この栗山の気持ちを伝える、もうひとつの物語となっていて、しみじみと聞き入ってしまいました。

1980年作品。112分。
・出演:さだまさし、原田美枝子、ハナ肇、尾藤イサオ、宮口精二、橋本功、倍賞美津子、三木のり平、ヨネヤマ・ママコ
・監督:森川時久
・音楽:さだまさし
・主題歌:「道化師のソネット」さだまさし 【おまけに松浦亜弥版】
・原作:『翔べイカロスの翼 - 青春のロマンをピエロに賭けた若者の愛と死』草鹿宏




<さだまさし原作映画>
さだまさしさんと言えば、命を題材に人間味あふれる小説を多く書かれ、その小説が原作となった映画も数多く作られています。
辛い過去のもつ遺品整理人の「アントキノイノチ」(‘11)、余命少ない気丈な母と娘の「眉山」(’07)、次第に視力を失ってゆく病に罹った青年の「解夏」、自伝的小説の「精霊流し」(’03)
 
  
  


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コメント

さだまさし

我が町「徳島」のシンボル「眉山」を小説、そして映画に
して頂いたさだまさしさんの力作ですね!
このころから、徳島によく来られていたそうです。
ご紹介ありがとうございました。

Re: さだまさし

「眉山」を見て、初めて阿波踊りが演舞場で行われているのを知りました。
本場で見る阿波踊りの活気は凄いでしょうね。

自分の町の小説や映画って愛着がわきます。
ちなみに私の町の映画は「リンダリンダリンダ」や石原さとみさんの「包帯クラブ」です。
しっかりロケ地は見にいきました。

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