ゴールデンスランバー



 仙台の中心街で大学時代の友人と釣りの待ち合わせをする青柳雅春(堺雅人)。服装も装備も完全に釣り人な青柳と対照的に何故かスーツ姿で待つ友人森田(吉岡秀隆)。森田に連れられ大通りから少し入った小道に停めた車の中で昔話しをするが、やがて森田から手渡されたペットボトルの水を飲みハンドルにもたれて寝てしまう。暫くの後、目を覚ますと大通りには首相の凱旋パレードで湧き上がる声が聞こえる。と突然、爆発音が響き、後ろを振り向くと辺りに白煙が舞い上がり、歓声が悲鳴へと変わっていた。すぐさま、警官二人が真っ直ぐ車に近づき、慌てて外に飛び出す青柳に銃口を向け躊躇無く発砲する。突然の銃声に慌てて立ち止まる青柳。一呼吸後、森田の車が警察官二人を巻き込み爆発。そして青柳は、首相の暗殺容疑者として追われる身になる。この出だしから始まる逃亡劇が日本映画としては珍しいスピード感があり、ぐいぐい映画の中に引き込まれていきます。また、青柳を犯人に陥れ抹殺する陰謀も用意周到で、逃亡する青柳包囲網があっというまに狭まる恐怖も凄い。暗殺後すぐに警察庁が捜査指揮を執り、公共交通網の全面ストップとテロリスト青柳への発砲命令が下される。さらに暗殺方法が特定され、そこに至るまでの青柳の怪しむべき行動の監視カメラ映像が公開される。もちろん青柳には身に覚えの無い映像の数々で、青柳の知り合いにも圧力がかかる。普通ならここでGAME OVERで権力の闇に葬られるところですが、予想もしない救いの手が入るから面白い。それは濱田岳さん演じる連続通り魔殺人犯の「キルオ」。黒いパーカーで顔を隠し、腰にはナイフ、朴訥とした喋り方から想像しがたい素早い動きで、狙った獲物をグサリ。決め言葉は「びっくりした?」。このキルオが気まぐれで青柳を助けたことから、警察の思惑から外れて青柳は逃亡し続ける。そして逃亡し続けることで、さらに救いの手が増えてゆく。元カノの晴子(竹内結子)、宅配便同僚のロッカー岩崎(渋川清彦)、偶然青柳と出会う裏家業保土ヶ谷(柄本明)、青柳の学生時代のバイト先の花火屋轟親子(ベンガル)、青柳を信じテレビ放送で「ちゃっちゃっと逃げろ」を言う父親(伊藤四郎)、かつて青柳が暴漢から助けたアイドル凛香(貫地谷かほり)。彼らが、青柳が信じる人間の最大の武器「信頼」を行動に起こしてくれるところがこの映画の見せ場でしょうね。そしてこの救い手たちと対極にある権力として、捜査指揮官の佐々木警視正(香川照之)、ニヤニヤしながら平気でショットガンを撃ちまくる小鳩沢(永島敏行)、表情を変えずに圧力をかけてくる近藤刑事(石丸謙二郎)などの強力キャラクターが登場することで、簡単には逃れられない緊迫感を高めて、映画のクライマックスへと進んでいきます。そして、少し長めの後日談がいいです。すでにいないはずの青柳から救い手たちに届く本人たちにしか分からないメッセージ。逃亡の末が幸せかは分かりませんが、物語の締めくくりとしては心地いいものです。

【予告編】

2010年作品。139分。
・出演:堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、濱田岳、香川照之、永島敏行、柄本明、ベンガル、相武沙季、貫地谷かほり、ソニン
・監督:中村義洋
・音楽:斉藤和義
・主題歌:「Golden Slumbers」斉藤和義
・原作:「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎

 



<中村義洋監督と伊坂幸太郎原作>
「ゴールデンスランバー」は、伊坂幸太郎氏原作の緻密なサスペンスを見事に映像化されています。この映画以外に中村義洋監督と伊坂幸太郎氏原作のタッグは、「アヒルと鴨のコインロッカー」(’07)、「ラッシュライフ」(’09)があり、それぞれアパートの隣人から泥棒の手助けをさせられる気の弱い大学生役として濱田岳さん、独自の哲学を持つ泥棒役として堺雅人さんが登場します。

 


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