竜馬の妻とその夫と愛人



 幕末の志士坂本竜馬が暗殺されてから新政府となって13年後、竜馬の十三回忌を計画していた勝海舟は、竜馬の妻おりょうを捜して出席させることを菅野覚兵衛に命じる。その頃、おりょうは横須賀でテキヤの松兵衛と結婚し、愛人の飴売り寅蔵と酒を浴び逢瀬を重ねていた。

 竜馬の妻おりょうが美人で勝気な性格というのは伝承されていますが、鈴木京香さん演じるおりょうはまさにそのイメージにぴったり。更に竜馬を失い世捨て人同然に、今をただ生きる姿に悲壮感と哀れみさえ感じます。そんな、おりょうですから江口洋介さん演じる寅蔵が、竜馬のような革新的思想の持ち主で、竜馬にもあった背中のたてがみなを持っていると知ってしまったら、ぞっこんになってしまいます。ただこの虎蔵にはウラがありますが・・。このおりょうの現夫は、テキヤの占い家業の松兵衛、この夫は妻が愛人に寝取られても何も言えない情けない男。ただ妻のことは心から愛しているよ!オーラはそのおりょうを見る眼差しでよく分かります。この松兵衛を木梨憲武さんが演じていますが、ノリはほとんどテレビバラエティの寸劇のままで、演技なのでしょうが、テレビで見る憲さんのままです。更におりょうの義弟で、おりょう捜索を命じられた菅野覚兵衛に中井貴一さん。おりょうを愛人から松兵衛の元に取り戻すために、松兵衛と共同戦線を引くことで凸凹コンビ、いや凸凸コンビが登場。このコンビのおとぼけぶりは楽しいです。どっちがボケでツッコミというわけでなく、二人ともその両役をこなすことで不思議な漫才が見られます。とくにクライマックスのおりょうと虎蔵、松兵衛と覚兵衛四人の話し合いでコロコロ気持ちが変心し、突っ込まれハッと我に返るボケぶりはなかなか。この作品は元々が舞台作品らしいので、この展開は舞台劇そのもの。そして最後のオチは竜馬暗殺の真相というビックリするもの。あっ、あのフリがここに効いてくるとは。

2002年作品。115分。
・出演:鈴木京香、中井貴一、木梨憲武、江口洋介、トータス松本、橋爪功、小林聡美
・監督:市川順
・音楽:谷川賢作
・原作:三谷幸喜




<映画の中の竜馬>
この作品ではトータス松本さん演じる竜馬が、おりょうの回顧録(夢)の中で登場します。最近では大河ドラマ「龍馬伝」の福山雅治さんのイケメンさわやかイメージがありますが、映画では「幕末青春グラフィティRonin坂本竜馬」(’86)の武田鉄也さん(おりょうは原田美枝子さん)。「幕末」(’70) の中村錦之助さん(おりょうは吉永小百合さん)。「竜馬を斬った男」(’87)の根津甚八さん。「竜馬暗殺」(’74)の原田芳雄さん。人斬り以蔵の半生を描いた「人斬り」(’69)の石原裕次郎さん。女性沖田総司に惚れる竜馬が登場する「幕末純情伝」(’91)の渡辺謙さん。など名立たる俳優さんが演じているのて見比べてみるのも楽しいです。

   


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