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待ち伏せ



 用心棒の鎬刀三郎は、「からす」と名乗る人物から、ある場所に行って何かが起こるまで待てという仕事を請け負う。刀三郎が指定された三州峠に向かうと、そこには孫娘と祖父二人で切り盛りする茶屋があった。やがて茶屋に、若い渡世人弥太郎、居候の元医者玄哲、捕まえた盗人を連れた役人伊吹兵馬が現れ、さらに盗人を助けようとする盗賊たちが迫っていた。

 信州の伊那と諏訪を結ぶ三州峠の茶屋「みの屋」に集まる人々がある事件に巻き込まれてゆく物語で、ほぼ茶屋とその周辺のみが舞台となっています。この茶屋に偶然か、必然か、集まる人々の設定とキャスティングがいいです。まずは、どこかで見たことのある無精ひげの薄汚れた浪人。生業は用心棒で勿論凄腕。でも人が困っているとついつい手助けてしまう人の良さで、旦那からDVに合っている女性を助け連れ出してしまうほど。こんな強くて優しい浪人といえば・・、もちろん、三船敏郎さんしかいません。そして、威勢がいい合羽姿の若い渡世人に石原裕次郎さん。髪型は現代風カットにちょん髷と違和感がありますが・・。茶屋の納屋に居候する総髪の元医者に勝新太郎さん。この男は納屋に何か秘密を隠す謎の部分がありながら、女性にすぐアタックする自由奔放な性格。勝新さん合ってますよ。更に、盗人を捕まえるときに大怪我をして茶屋に盗人共々転がり込む役人に中村錦之助さん。助けてもらいながら疑り深い役人の傲慢さを、高い声と独特な喋り方で表現していて、イヤミな奴をすんなりと演じています。旦那のDVから用心棒の手を借りて逃げ出し、茶屋にお世話になる女性に浅丘ルリ子さん。ただただ綺麗です。あとは茶屋の元気娘に北川美佳さん。名前は知りませんでしたが、どうやら三船敏郎さんの娘三船美佳さんの母のようです。この豪華キャストが演じる一癖も二癖もあるキャラたちが茶屋という個室に集まり、これから迫って来る出来事の前の伏線作りが、ラブを絡めて時代劇らしからぬサスペンス感でなかなかいいです。納屋に秘密を隠す元医者と茶屋の祖父、怪我をした役人と盗人の手当てでもめる登場人物たち、役人と顔を合わせない渡世人の過去、渡世人に憧れる茶屋娘、浪人を慕う女性、その女性を狙う元医者、そしてDV旦那登場と、飽きを感じさせません。さらに迫って来る盗賊たちのある計画とは、その計画のボスは、浪人がここに呼ばれた訳は、とサスペンスは途切れず、いざクライマックスへ。あれ?ここまではなかなかいい線いってたのに、その後のアクションと映像が弱すぎです。舞台も茶屋を離れたとたんに、峠がどうも広すぎる現代風の道で(これアスファルトじゃない?)、斬りあいシーンも、捕り物シーンも迫力が無い。もしかしたらクライマックスはおまけで、ここまでの伏線を見せるのがこの映画の狙いだったのかもしれません??。

1970年作品。
・出演:三船敏郎、石原裕次郎、勝新太郎、中村錦之助、浅岡ルリ子、北川美佳、有島一郎
・監督:稲垣浩
・音楽:佐藤勝




<浪人・・郎>
三船敏郎さん演じる凄腕浪人は、「用心棒」(’61)の桑畑三十郎から始まり、「椿三十郎」(’62)、テレビドラマ「荒野の素浪人」(’72)の峠九十郎(ちょっと姿は違いますが・・)、「座頭市と用心棒」('70)(名前は・・郎ではなく大作)と数多く登場し、どれを見ても渋くかっこいいです。なかなか三船さんを越える個性豊かな浪人を演じられる俳優さんは出てきませんね。
 


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