マラソンマン(MARATHON MAN)



 いきなりタイトルの『マラソンマン』の印象を強くさせるが訝しくも思えるモノクロのアベベのマラソンシーン。そして、ニューヨークの銀行の貸金庫から取り出される、カラリと音がして中に硬い物質が存在するのが想像できるカラフルな金属製のシガレットケース。このシガレットケースは銀行から持ち出された後、隠すように他人の手に渡され雑踏の中を消えてゆく。そして、そのシガレットケースを取り出した老人は、ベンツに乗り込み、やがてシボレーのユダヤ老人と些細なことから口げんかとなり、唖然とするほどの車をぶつけあう醜いカーチェイスが始まる。そして最後には激しい事故で炎上して、車内の炎の中にあの貸金庫の鍵が・・。その光景を眺める公園でマラソンをする青年ベーブ。彼は大学院生で近所の住人から変人扱いされている男で、「レインマン」や「クレイマークレイマー」などで名演技を見せてくれたダスティ・ホフマンが演じています。その個性的で知的な感じと、変人扱いされているその微妙加減、そして一目惚れした女性の落としかたはさすが。ところはパリへと変わり、あのシガレットケースを手にしているのは「ジョーズ」や「ブルーサンダー」のロイ・シャイダー演じるドク。どこかの組織の人間らしく彼の周りには爆弾事件や殺人事件、そして彼自身も命を狙われる状況が続きます。さらにところはウクライナに変わり、豪邸に住み骸骨の置物が数多く置かれた部屋で頭の中央部を剃り上げるローレンス・オリヴィエ演じる謎の老人。そして、ドクと老人はニューヨークへ。と、ここまで一気に物語の伏線が描かれ、ここから登場人物たちの接点が少しずつ明らかになって、一気に目まぐるしい展開へと流れ込んでいきます。ここに、ベーブが一目惚れした外国人の女性や、ドクの同僚、そして謎の三人の殺し屋が加わることで、あのシガレットケースに関係するある真実の周りを作為という霧を立ちこませてサスペンス性を高めています。そしてこの映画のもっとも怖いところは、ある真実をまだ知らないベーブが、拉致されて拷問を受けるシーンです。拷問人は歯医者。拘束されたベーブの目の前には歯科道具が並べられ、そこにはキィーンと唸るドリルも・・。そこからは目を閉じても音声だけで、まるで自分の歯の神経をいじられているかのような心臓に悪い描写で、ギャーッ!そして、命からがらその場を逃げ出しアベベばりのマラソンスタイル(半裸ですが)で逃げ回るベーブ。これがタイトル「マラソンマン」の所以かな。結局、あの真実は人間の強欲の塊。それも恐ろしいほど多くの人間の命が関わり深い念が渦巻いていそうなモノで、その強欲を欲しない無縁なベーブ以外は、まるでその念に食い殺されたかのような結末を迎えてしまったのも、仕方ないのかもしれません。

1976年アメリカ作品。125分。
・出演:ダスティ・ホフマン、ロイ・シャイダー、ローレンス・オリヴィエ、ウィリアム・ディベイン、マルト・ケラー
・監督:ジョージ・シュレジャー
・音楽:マイケル・スモール
・原作:「マラソンマン」ウィリアム・ゴールドマン

【予告編】

 
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