ペーパー・ムーン (Paper Moon)



 1930年代の中西部アメリカ。母を交通事故で亡くしたアディ(テータム・オニール)の前に、母の恋人のひとりであったモーゼ(ライアン・オニール)が顔を出す。モーゼはアディを伯母の家まで送り届ける役目を無理やり押し付けられるが、彼は聖書を騙して売りつける詐欺師であった。そして最初はモーゼにとって厄介者であったアディだが、旅を続けるうちに彼女はモーゼの欠かせない相棒となってゆく。

 不況で禁酒法などが施行されていた暗いアメリカをモノクロ映像で映し出す一方、登場する人物たちは、どちらかというと明るくたくましく生きる人間らしさを感じる楽しい映画です。主人公はケチな詐欺師モーゼと母を亡くした少女アディ。この二人の関係は、微妙に父娘かもしれない可能性がある設定(たぶん33%)。この父親かもしれない男は、新聞の死亡欄を見て、亡き夫から妻への贈り物と称して名前入りの聖書を騙し売る詐欺師。ただ、詐欺と言っても騙された妻たちは夫からのプレゼントだと感激する、なんとなく騙したほうも騙されたほうも納得の詐欺(本当はダメですけどね)。さらに小心者のため小金しか騙せない。ここに無理やり押し付けられ厄介者だった少女が、ひょこっとこの仕事に加わることで、騙す相手の様子を観察して温情が入った絶妙の駆け引きが始まる小気味良さはなんとも言えません。そして、この映画の凄いところは、いまだに破れられていない最年少アカデミー賞(10歳)のテータム・オニールの名演技!ちょっとハスキー声のズボン姿のボーイッシュな少女。でも、髪の毛をとかしリボンをして、ワンピースを着たい女の子らしさは常に持ち合わせる可愛らしさ。でも、一旦仕事(?)となると、その賢さで詐欺師の名相棒というか主導権まで握り手玉にとるしたたかさ。そしてなんといっても、彼女の表現力の豊かさ!喜怒哀楽だけでなく、彼女の細かい心情が伝わってくる、その表情と仕草は凄いとしか言えません。大根役者さんたち、これ観て勉強してよ。また、もう一人の主人公の詐欺師はテータム・オニールの実父のライアン・オニール。二枚目だけど、イヒヒヒヒと笑ったり、小心者で女にうつつを抜かすダメ男を演じていますが、それがしっかりもののアディを引き立て、アディとの微笑ましい掛け合いが生まれてくるキャラクターになっているのは確かです。この作品はこのように、詐欺師と少女のドラマがもちろんメインですが、それ以外にノーカットで見せるスーパークラシックカーのカーアクションなどの見せ場もあります。そして、映画タイトルの「ペーパー・ムーン」は、写真イベントの紙で出来た三日月のオブジェのことで、アンディがモーゼと一緒に撮りたがりますがモーゼは女のところへ・・、しかたなく一人で撮った写真を、ラスト近くにで別れたモーゼの車に忍ばせモーゼが写真を見て感慨に耽る。そんな効果的に使われるペーパー・ムーンですが、映画ポスターでは、しっかり二人でペーパ・ムーンに座った写真が使われていて、この後の幸せな二人を想像できニヤリとしてしまいます。

【この作品をレンタルする】

1973年アメリカ作品。
・出演:テータム・オニール、ライアン・オニール、マデリーン・カーン、ジョン・ヒラーマン
・監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
・原作:「アディ・プレイ」 ジョー・デヴィッド・ブラウン





<痛快な詐欺師たち>
映画の中では度々不謹慎ながら痛快な詐欺師たちが登場して、彼らの巧みに練られた騙しテクニックは観客の溜飲を下げてくれます。ペーパー・ムーンと同じく1930年代のアメリカで、ギャングに復讐するポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの「スティング」('73米)。最近では阿部寛と村上ショージの異色コンビに石原さとみと能年玲奈が加わる「カラスの親指」('13)。など、まだまだあるはずですが・・。
 

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コメント

何度観てもいいですよね

児童虐待とか親子の断絶などと叫ばれて久しくなりますが、
いま、みーんなに観てほしい作品だと思います。

Re: 何度観てもいいですよね

最近だとその主題を無理やり前面に押し出しますが、そのようなあざとさがない自然な映画で、良い映画なので観てもらいたいですね。

ふたり

テータム・オニール、ライアン・オニール最高ですよね。
テータム・オニール…。ワタシ達世代には、欠かせない
映画アイドルです。

Re: ふたり

確かにアイドルでした。
ほかにブルック・シールズ、ダイアン・レイン、フィビー・ケイツ、ジョディ・フォスターなどなど。
懐かしい、今でも活躍しているのはジョディ・フォスターぐらいですかね。

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