狂った野獣



 銀行強盗に失敗した犯人たち(片桐竜次、川谷拓三)が、近くを通りかかったバスをバスジャックする。乗客たちは恐怖におののくが、その中に犯人を気にも留めない男(渡瀬恒彦)がいた。そして、バスジャック犯人たちと警察の攻防が始まり、さらにもう一つの事件が絡み意外な展開となってゆく。

 銀行強盗に失敗した犯人がバスジャックして、恐怖におののく乗客と警察の攻防。といった単純ストーリーではなく、バス内の人々の人間模様ともう一つの事件との絡みと意外な展開、そしてカーアクションというよりは車を破壊するシーン満載の映画です。バス内の人々ひとりひとりの設定が妙で、まず犯人の片桐竜次さんと川谷拓三さんコンビ、警察に追われる恐怖を乗客たちにぶつけ、刻々とそのアドレナリン率が高まり落ち着きを無くしてゆき、乗客達に恐怖を伝染させていきます。特に川谷拓三の小心者設定で恐怖を隠しきれない人物像が絶妙。そして、ビシッときめた容姿とサングラス姿の渡瀬恒彦さん、犯人など気に留めずタバコを吸ったり、酒を飲んだり、でも大事そうに楽器ケースを抱える謎の印象があります。それ以外に何か事情があり降ろしてくれと嘆願する女性、口うるさいおばさん、チンドン屋たち、飄々として平気でバナナを食らう老人、髪の毛をセットしたままの女性、小学生二人、そ知らぬ顔で競馬新聞を読む労務者、教師と生徒の母の不倫カップル、心臓に持病を持ち緊張すると命が危ない運転手と個性豊かな乗員・乗客たちを揃え、それぞれが映画のコマの中でしっかりと主張します。そしてバスの外にも、バスをバイクで追う謎の女性や、熱血刑事と白バイ隊員と映画の味を更に高めるスパイス要素が用意され、事件の経過を伝えるラジオDJはモサモサ頭時代の笑福亭鶴瓶さん、とここにもスパイスが。映画半ばまではそのバスジャック犯人と乗客たちのサスペンス恐怖がメインですが、途中からは意外な人物がバスジャックを更にバスジャックする驚きの展開。そこから、本当のバスジャックと警察の攻防が始まり、車がつぶれる、ぶっ飛ぶ、転がる、爆発するシーンが満載。でも場所が安全を見てか?限定した場所なのは日本らしいですが・・。さらにこの映画はところどころになぜかコメディ要素が取り入れられるサービスまであり、ラストのバスジャック犯人たちの結末と相反するもうひとつの事件の犯人たちの犯罪が乗客たちとの利害関係でなかったことにされるのもコメディといえばコメディなのかもしれません。

1976年作品。78分。
・出演:渡瀬恒彦、星野じゅん、川谷拓三、片桐竜次、白川浩二郎、橘麻紀、志賀勝、三上寛、笑福亭鶴瓶
・監督:中島貞夫
・音楽:広瀬健次郎

【予告編】





<バスジャックが登場する映画>
バスジャックされた人々が傷ついた心を癒そうとする「ユリイカ」('00:役所広司、宮崎あおい)、自分を追う警察の素性を知ろうとバスジャックを仕込む「デスノート」('06:藤原竜也)、実際に起こったブラジルのバスジャック事件のドキュメンタリー「バス174」('05日本公開ブラジル作品)
  



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