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裏窓



 カメラマンのジェフリーズ(ジェームズ・スチュアート)は撮影中に骨折して自宅のアパートで車いす生活を余儀なくされる。一日中、暇な彼の楽しみは、窓の外に広がる向かいのアパートの人間観察であった。そんな日常風景のひとつに仲の悪い夫婦の姿があったが、ある日妻の姿が忽然と消え、大きな荷物を外に運び出し、包丁の手入れをする夫だけが窓の住人となる。ジェフリーズは、夫が妻を殺害して遺体を隠したと疑い始め、友人の刑事に相談するが相手にされない。しかし、夫の怪しい行動に日に日に疑いを強くするジェフリーズに、彼女のリザ(グレイス・ケリー)や看護師ステラが同調して、真相を突き止めようとする。

 窓を全開にして生活するアパートの住人たち。そして額に汗が噴き出して眠る男と華氏95度(摂氏35℃)の温度計が映し出される。やがて、男の顔から足へとカメラは移動して、そこにはジェフリーズの壊れた足と落書きされたギブス、粉々に壊れたカメラ、クラッシュするカーレースの写真、とカメラは移動して、最後は美女のネガ写真と雑誌の表紙。うーん、これだけで猛暑と、カメラマンらしき男がカーレース場で事故って骨折した様子がすぐにわかります。そして、有名な美女の彼女がいて、雑誌の撮影で知り合ったことも。さすが、ヒッチコック監督、オープニングだけで前置きの説明を終了させてしまうとは。

 車いすの男ジェフリーズが、暇潰しのために窓から見るアパートは、売れない作曲家、沢山の男たちから言い寄られる美女のダンサー、暑くてベランダにマットレスを置いて眠る夫婦、夫に罵声を浴びせる妻とこそこそ電話をしている夫、人生絶望のようなオールドミス、結婚したばかりの夫婦、水着で日向ぼっこしている年配の女性、と色々な人生をたっぷりと詰め込んだ住人達のアパート。そのひとつひとつの部屋の窓が、ジェフリーズを飽きさせず、楽しませるオムニバス劇場となっています。もちろんジェフリーズにも、実業家の美女の彼女と、世界を歩きまわるフリーカメラマンの、住む世界のギャップに悩む人生がここにもひとつあります。

 ある日、夫婦仲の悪い妻の姿が忽然と消え、何度もアパートの部屋から運び出される大きなトランクと何本もの包丁を手入れする夫に違和感を感じるジェフリーズ。まさか妻を殺害して運び出しているのでは、なんて考えも暇だから頭に浮かんでしまう。さらにアパートの中庭の花壇を馴らしている夫の姿を見て、妄想が疑惑に、そして確信へと変わってゆくジェフリーズ。すぐさま友人の刑事に相談するが、ただ呆れられるだけで、まともな捜査もしてくれない。そりゃ殺害現場を見た訳ではなく、推理ですかからね。でも普通ならありえないよな、と思うことでも、彼女のリザや介護をしてくれる看護師ステラが同調して、あれよあれよという間に、動けないジェフリーズを横目に彼女たちが暴走(ほとんど楽しんでいるでしょう彼女たちは)。男が出かけた隙に、花壇を掘り起こしたり、証拠を探そうとして部屋に侵入したり。そして案の定、男の姿がアパートの外に見えて戻ってくる。分かってはいるけれど、ドキドキ、ヒヤヒヤの展開です。このスリリングな素人探偵たちの活躍(?)の間にも、アパートの住人たちの人生劇場が続けられてゆく様は、上手いな。そして、ついつい、その劇場をジェフリーズと一緒に見られずには居られなくなります(すっかり観客)。こっちは、ジェフリーズと一緒に、日に当たらず、向こうからは見られないように隠れて見ているので安心。そんな安全な場所にいると思っていたら、ギロリとこちらに向けられる視線。ギブスをしているジェフリーズは動けない。さあ、サスペンスの第二幕です。

【予告編】

1955年公開アメリカ作品
・監督:アルフレッド・ヒッチコック
・出演:ジェームズ・スチュアート、グレース・ケリー、レイモンド・バー、セルマ・リッター、ウェンデル・コーリー
・音楽:フラッツ・ワックスマン

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