言の葉の庭



 靴職人を目指す高校1年の秋月孝雄は、雨の降る日は1時限目をさぼり、庭園の屋根付きベンチに座って靴のデザインを考えていた。ある日、そのベンチにチョコレートをつまみに缶ビールを飲む女性と出会う。孝雄をどこかで見かけた女性だと思い声を掛けるが、女性は知らないと答えるが、帰り際に「鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」の言葉の残す。そして、その日から雨の降るベンチは二人だけの空間となった。

 15歳で靴職人になる目標に目指し日々努力する少年と人生に躓いてしまった27歳の女性の梅雨の合間のひとときの安らぎと恋ものがたり。とにかく雨の描写が綺麗です。雨に濡れる木の橋を渡る足元。雨の滴と協和するようにリズムを奏でる池に映る緑の草木。そしてこの空間から一歩外へ出たときの、都会の街並みや通勤・通学電車の雨による湿気や濡れによる不快感をも伝わる描写。この実写以上に丁寧過ぎるほど繊細に描かれた映像は、とにかく驚かされます。さすが「秒速5センチメートル」新海誠監督の映像美。ものがたりは、静かに降る雨の中で、靴のデッサンや読書、それぞれが作った弁当をつついたりとあたりまえのように自然に過ごす二人の時を、申し訳ないように共有する自分がいます。やがて梅雨が明け2人をつなぐ雨の言い訳が消えて、再びそれぞれ時間へと戻っていきますが、ある再会をきっかけにして、歩くことを忘れていた女性が悩んでいた次への歩みの姿と、大人びた孝雄が見せる抑えていた15歳らしい姿が、さらけ出され2人の気持が初めてわかりあえます。このシーンは、もちろん雨の中。でも遠くからの一筋の光が2人を照らします(感動的過ぎるほど神々しい)。このバックに流れる秦基博さんが歌う主題歌「Rain」がとにかくいい。まるで映画のために作られたような歌ですが、大江千里さん原曲で、槇原敬之さんがカバーしていた曲でした。いい曲だ。そしてラストは、雨ではなく雪の中のベンチに孝雄の思いが詰まるあるものが置かれ、彼らのものがたりの続きが見たくなります。



2013年公開。46分。
・声:入野自由、花澤香菜、前田剛、平野文
・監督:新海誠
・音楽:KASHIWA Daisuke
・主題歌:「Rain」秦基博
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