麦子さんと



 兄の憲男(松田龍平)と二人暮らしの麦子(堀北真希)の所に、自分達を捨てた母(余貴美子)が一緒に住もうと尋ねてくる。頑なに拒む2人であったが、実は仕送りをしてもらっていることを知り、仕方なく同居することになるが、兄がさっさと家を出て麦子と母の2人だけの暮らしとなってしまう。しかし突然母は病で亡くなる。麦子は納骨するために母の郷里を訪れるが、町の人々は麦子の顔を見ると誰もが固まったかのように驚き、その姿に麦子は戸惑ってしまう。そして、かつて母が過ごしたこの町での母の夢見る姿を知ることになる。

 幼い頃に母が家を出て、母の顔も温もりも愛情も知らずに育った麦子。自分の夢が見つけられずに、何かにひととき熱中するが直ぐに冷めてしまう麦子。今は声優を夢見てアニメショップで働く日々を過ごす。そんな麦子の元に、かつて母であった「あのひと」が尋ねてくる。兄は「ばばあ」呼ばわりして、その女性を追い返そうとするが、何故か一緒に生活することになってしまう。「あのひと」は、へらへらしていて無頓着で、全く麦子が思う母親とは別の存在で、麦子は日に日に苛立ちを感じ、きつい言葉を浴びせてしまう。母親を知らずに育って接し方も甘え方も分からず距離を取らざるを得ない麦子。こんな麦子が、幼くてまったく母との想い出が無かった人生に、ほんの僅かだけ母との接点ができ、母の若かりし頃の情景を伝えてくれる郷里の人々と出会い、母の存在を素直に感じられるようになる物語です。

 兄と二人暮らしをしていても食事はコンビニ弁当、家ではアニメを見て、長続きしない夢を追っている麦子。どこか心に影を持った雰囲気を醸し笑顔も控え目。そんな女性像を堀北真希さんが演じています。暗さはあるけど端整な顔立ちと女性らしい身なりが可愛いですが、怖そうです・・。そして「あのひと」を演じるのは余貴美子さん、へらへらして自分の世界を生きているかのようですが、最後に会わずにはいられなかった子供への愛情と苦悩が所々に垣間見られます。麦子の兄を演じるのは松田龍平さん。母であった人を「ばばあ」と呼び、のそっといい加減な雰囲気。母が亡くなったときも、ざまーないよな、なんて軽口をたたいていますが、遺骨になった母を見ると・・。そして母の郷里で、夢溢れていた若かりし頃の母を知り、語り部となってくれる人々に、タクシー運転手で元ストーカーの温水洋一さん、バツイチで別れた自分の子供に会おうとしない霊園事務員ミチルに麻生裕未さん、麦子が泊まる民宿の夫婦にガタルカナ・タカさんとふせえりさん。彼らが語る母の姿と彼らとのひとときが、麦子の心の成長を閉ざしていた何かに少し光を与えてくれます。決して映画としては、盛り上がりはそれほど無いのですが、なんとなく麦子を見守ってしまいたくなる映画でした。

映画のシーンには「赤いスイートピー」が流れ、てっきり堀北真希版が聞けるかと思いましたが、アレ、歌わないのか~。でしたね。代わりにアニメ声優堀北真希が見れました。

【予告編】

2013年作品。95分。ファントム・フィルム配給。
・出演;堀北真希、余貴美子、松田龍平、温水洋一、麻生裕未
・監督:吉田恵輔
・音楽:遠藤浩二
・脚本:吉田恵輔、仁志原了
・撮影:志田貴之
・挿入曲:「赤いスイートピー」松田聖子



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MONSTERZ モンスターズ



 視界に入る人間を操ることができる男(藤原竜也)は、その忌まわしい能力を利用して人知れず生きてきた。ある日、操れない人間田中終一(山田孝之)に偶然出くわすが、男の目の前で終一は車にはねられてしまう。しかし数日後、男は元の体に戻っている終一を見かけ、自分の世界から消し去ることを決める。

 自分の視界に入る人間を意のままに操れる能力。しかしその能力を使うことで体を黒い闇が蝕み失われてゆく恐怖とバケモノと罵られ家族も友もいない孤独な人生を歩む男。一方、常人であれば死に至る怪我を異常なまでの回復力で治癒してしまう男“終一”。この2人が、偶然か、必然か出会ってしまったことから、人知れずかつ大胆に隠れ暮らしていた男を表舞台にあがらせ、関係のない人々をも巻き込む壮絶な戦いが始まります。もちろん操る男の方が周りの人々を襲撃者として、そして武器として消耗品のように自由に使えて有利ですが、そこはハンデを背負わせ行動に制限を持たせることで、絶対者でないという設定が戦いを面白くさせています。とはいえ、襲撃者に選ぶのは屈強な男たちだけでなく、普通の市井の人々、そして終一の知人たち。そしてごくごく普通の人々に死を与えることで、終一の精神にもダメージを与える手段を選ばない冷徹さ。この操る男を藤原竜也さんが演じ、冷徹で自己的な狂気の裏に悲壮感を漂わせた男が、やはりよく似合う。いつもの藤原竜也がここにいます。そして、この男のターゲットとなり戦いに挑む終一を演じるのは山田孝之さん。こちらも人の良さの中にも地図マニアというオタクの雰囲気と屈強な精神を持ったタフな男がいます。この2人が正面からぶつかり合うのですから面白くないわけがない。次から次へと手を変え品を変え、終一を仕留めようと攻撃を仕掛けてくる男。そして始末したと安堵したところに、ひょっこり現われてくる終一。「なんで生きている」「お前は誰だ」「お前こそ誰だ」と、なかば掛け合い漫才に似た展開に・・。どうも途中から人間臭くなって、似たもの同士、友情が芽生えてしまった?などと思わせる感じでもありますが、最後までバトルは続きます。そしてこの2人の戦いに巻き込まれる人々で、ただ単に2人だけの戦いだけではなく、ものがたりに広がりを見せています。終一を車ではねたことで、逆に親密になってゆくギターショップの父娘(田口トモロヲさんと石原さとみさん)。終一のバイト仲間で少し変わった面を待つが、終一を守ろうとする友人たち(太賀さんと落合モトキさん)。子供の頃の終一を知り、事件の真相に近づく刑事(松重豊さん)。哀しき怪物を生んでしまった母親(薄幸女優の木村多江さん)などなど。そして映画の主題ともなっているモンスター能力合戦。男が、ホテルの窓から隣のビルを眺め、かっと目を見開き、青い視線を向けると、仕事中の人たちがシンクロして一斉に窓際に歩きだし、やがて両手で自分の顔を掴み捻り曲げようとする。こんな怖いシーンもまるで自分も操られたかのように目が離せなくなります。かたや終一もちょっと不用意に道路に出てバシャッ。横になっている上空からまさかの重量物でグシャッ。などと、こちらも痛、と感じてしまうシーンの数々。結局、この2人の能力は相容れないものなのか、それとも会うべき宿命だったのかは、ラストで・・。

【予告編】

2014年作品。112分。ワーナー・ブラザーズ配給。
・監督:中田秀夫
・出演:藤原竜也、山田孝之、石原さとみ、田口トモロヲ、落合モトキ、太賀、藤井美菜、松重豊、木村多江
・音楽:川井憲次
・原案:「超能力者」(韓国映画)

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