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天国と地獄



 靴製造メーカ重役の権藤(三船敏郎)の元に子供を誘拐したという電話が掛かってくる。犯人は3000万円の身代金の要求をだすが、やがて誘拐されたのは権藤の子供ではなく、運転手の子供であることが判明する。権藤は全財産を賭け会社乗っ取り計画としていたが、子供の命を引き換えに身代金を払うか、会社乗っ取り計画を遂行するか悩むが、身代金を支払うことを決意する。そして犯人の指示を受け身代金の入った鞄を抱え特急に乗り込む。

 人々を下界に見下ろすかのよう構える小高い丘の上の豪邸。窓から町全体や遠くの港までが一望できる広いリビングで繰り広げられる人間模様が、映画の前半を占めます。社長のやり方が気に食わず儲け主義で会社を乗っ取ろうとする3人の重役が、工場担当の重役権藤も引き込もうとやってくるシーンから入る。その後、重役達と権藤の主義の違いからの物別れ。誘拐犯からの電話でどん底に落とされる権藤から、さらわれた子供が自分の子供でないと分かって、身代金を払い地位も財産も失うか、子供を見捨てて用意した金で会社乗っ取りを貫くかの選択を強いられる権藤。その隅で肩を落とし悲壮感の塊の、間違えられて子供をさらわれた運転手。ここに、犯人に気付かれないように細心の注意を払いこそこそと誘拐事件に対応する戸倉警部率いる刑事達や権藤の腹心であった男の裏切り。など、ぎゅっと詰まった人間模様が、このリビングの中で繰り広げられます。リビングだけの映像のため単調になりそうですが、画面は固定されず、ひとつのカットに複数人が映し出され、それぞれの表情や動作にあわせカメラも動く。そして必ず誰かの動きが入り画面が生きていると表現していいのでしょうか、まったく退屈させません。もちろん、野心と貫禄十分な権藤を演じる三船敏郎さんや、冷静な戸倉警部を演じる仲代達矢さんの演技があってからこそ生きるのですが。

 そして後半からは「動」です。犯人からの身代金受け渡し場所は、特急電車こだま。まず車内で大事そうに身代金の入った小さな二つの鞄を抱える権藤と周りに配備された刑事たちが映し出された後(ここままではまだ静です)、犯人からの車内電話で慌しく車内を行き来する権藤と刑事たち。やがて犯人からの指示で、洗面所に入り窓の外を見ると、誘拐された少年と麦わら帽子で顔を隠した人影が小さく現われ、酒匂川の鉄橋を渡り、対岸の土手に立つやはり麦藁帽子で顔を隠した人影。そこを目がけ洗面所の僅かに開いた窓の隙間から鞄を車外に押し出す権藤。これで犯人との取引は成立ですが、ここからは刑事達が犯人を追う「動」へと移り変わります。その移り変わりのシーンはというと、ゴミの浮いたドブのような川沿いを歩く2人の刑事。刑事が画面から切れると、その川の水面に映る刑事達と反対方向へと歩く白シャツの男。やがてカメラは水面から地上へと移り男の跡を追う。これが1シーンですから、計算され尽くされたカメラワークと演出には驚かされます。この白シャツの男はわずか3畳のアパートに入り、多くの新聞を広げ誘拐事件の記事を読む。そして窓の外には丘の上の権藤の豪邸が見える。いよいよ容疑者らしき人物登場です。警察はというと、権藤の豪邸が見える公衆電話の捜査と誘拐に車が使われたことからその誘拐ルートの聞き込みを行い、徐々に範囲を狭めてゆく。この警察の動きの中でも「動」と「静」が混ざり合っています。警察の捜査会議は、狭い会議室に数十人の男たちが、うちわを扇いで密集状態。そのランダムの動きが、ある刑事の報告によりピタッと止まる。その一瞬の静止画の中で動く首振り扇風機。多くの人を使っての「動」と「静」、絶妙。ひとつひとつのシーンに無駄がないですね。さらにさらに、身代金を入れた鞄に仕込んだ、燃やすと色付きの煙が出る仕掛け。この作品はモノクロ映画なのですが、なんと町の煙突から昇る煙がピンクです。モノクロという静寂の中に浮き出すピンクが色視覚の「動」としてインパクトを与えます。ん?このシーンどこかで見たことあるなと思ったら「踊る大走査線 The Movie」で、和久さんが軟禁された焼却所の煙突からも色つきの煙が出ていました。あの作品も誘拐ものですから、オマージュかもしれません。そして、やがて捜査の末ほぼ犯人を断定できたのですが、な、な、なんと、これでは罪が軽いから極刑にさせようと刑事達が罠を仕掛け犯人を泳がせる(これって当時でもあり?)。また、ここまで完璧な誘拐犯罪を行っていた犯人がまんまとこの罠に嵌ってしまうのです。この犯人の泳がされるシーンでも、多国の言葉か書かれた人、人、人の喧騒とした酒場や、多くの麻薬中毒者がゆらりゆらり徘徊する場末の裏通り、など多くの人を使った「動」が使われ、1964年東京オリンピックや新幹線開通前のまだ物騒で怪しい雰囲気の町が描かれています。

 ラストは犯人と権藤との1対1のシーンで、どこでの対面かは書きませんが、裕福な権藤と貧しい犯人の天国と地獄が、破産した権藤と身代金をせしめた犯人の地獄と天国に変わり、やがて天国と地獄へ揺れ戻ってゆく様が、落ち着いた権藤と冷静さを失ってゆく犯人を対照的に映し出しています。そして本当のラストはガシャーンと幕引きされました。さすが黒澤監督作品、面白かった。

【予告編】

1963年作品。143分。
・主演:三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也、佐田豊、木村功、加藤武、山崎努
・監督;黒澤明
・音楽:佐藤勝
・原作:「キングの身代金」エド・マクベイン




<誘拐の日本映画>
誘拐を題材として日本映画は...結構ありますね。タイトルに「誘拐」の文字が入っている作品では、ずばり「誘拐」(1997年:渡哲也主演):大企業の重役が誘拐されベテラン刑事とロス市警帰りのプロファイラー刑事が大金の身代金を持ってマラソンのように走り回される作品。「誘拐報道」(1982年:萩原健一主演):宝塚有学童誘拐事件を描いた作品。「誘拐ラブソディー」(2010年:高橋克典主演):全てを失った男が子供を誘拐するが、ヤクザの組長の子供であったために警察とヤクザの両方に追われる作品。「大誘拐 RAINBOW KIDS」(1991年:北林谷栄主演):山林王の老女が三人の若者に誘拐されるが、老女が主導権を握るコメディータッチ作品。他には、「踊る大走査線 The Movie」(1998年:織田裕二主演):警視庁副総監が誘拐され所轄湾岸署の面々が捜査に加われないながらも活躍する作品。「アマルフィ女神の報酬」(2009年:織田裕二主演):イタリアで少女が誘拐され事件交渉に外交官黒田が関わる作品。他にも「ボクの女に手を出すな」(1986年:小泉今日子主演)や「ションベン・ライダー」(1983年:永瀬正敏主演)などがあります。

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7月7日、晴れ



 車メーカのサラリーマン健太は、仲間達と来ているキャンプで釣りをしていると、突然、声を掛けられる。声のほうを振り向くと、そこには、この場所にはそぐわない、きらきら輝くミニドレスをまとった背の高い少女が立っていた。彼女は健太のほうに近寄ってきて、「知らない?」と尋ねる。「どこかで会った?」と返す言葉に少し驚きを見せたが、すぐさま健太の手をとりマジックで数字を書き始め、「東京で会おう。それ電話番号だから」といって立ち去っていった。怪訝な顔をする健太であったが、山から都会への帰り道、ふとビルを見上げると、そこには山で出会った少女の巨大広告が目に入ってきた。彼女は売れっ子アーティストHINATAであった。

 有名人と一般人との恋愛もの。なかなかその境遇と環境の違いから成就は難しい恋愛。
映画の中でも、デートは運転手付きの高級車での移動で、貸切の映画館に、貸切の高級レストラン。周りは給仕ばかりで、その一手や行動が注目されているようで、ぎこちなく動作してしまう一般人健太。だから最後はからかわれバカにされているような気分になりイライラ爆発。でもなんとなくお互い気になっているので、次のデートは健太のリード。それは、ごく普通の街中でのデート。人は人ごみで隠すのですよね・・そうなるのよね、ばれるよね。結局、街の中は大騒ぎでパニック状態。それならばと、人の少ない山の中でのキャンプへ。ここからは仲間達と一緒にワイワイ、テントを作ったり、釣りをしたり、飯を作ったりで、見ている方も楽しくなる騒ぎ方。まるで「私をスキーに連れって」のゲレンデやたまり場の雰囲気そっくり。そういえば、健太がHINATAに書いてもらった電話番号にTELするときも、仲間で賭けをしてその様子をうかがっていたましたね。
そして映画のポイントは、HIANTAの誕生日7月7日に天の川が見たいという彼女の幼い頃からの夢。この夢を実現させるために、来年の誕生日に一緒に天の川を見る約束をする2人。でもこれから期待されているHINATAですから、大人の事情が否応なくやってきた、二人の障壁が見る見るうちに高くなっていきます。1990年代ですから、まだ携帯電話が出回り始めたときで、二人の連絡はもっぱら家電と公衆電話。それぞれの思いが直ぐに伝わらなくてもどかしいこと、もどかしいこと。まあ、昔はこんな感じだよな。多くの恋(声)がすれ違って消えていったでしょうね。

 HINATAを演じるのは、観月ありささん、当時20歳でアーティストというより、アイドルぽい感じで幼さを感じます。この後の「ナースのお仕事」のような溌剌としているほうが似合っているかな。サラリーマン健太は、萩原正人さん。萩原さんはというと、この前後作品の「マークスの山」、「CURE」、「カオス」で演じる影があり、どこかしらに狂気を隠している役のイメージが強いので、ちょっと無理をしているような、はっちゃけた演技より、やはり悩む悩む暗い感じの演技がいいです。眉がヘの字になる感じの。そして2人を取り巻く仲間には、兄貴うじきつよしさん、元気のかたまり田中律子さんが、もっと元気な榊原利彦さんなどで、ほどよく出しゃばらず2人を暖かく見守り応援する感じが頼もしい。
 そして2人の出会いからの幸せな気持ちとその後のすれ違ってゆく姿を、DREAM COM TRUEのBGMが楽しく、そして切なく流れてゆきます。あまりにも多い楽曲にBGMというよりは、ついつい聞き入ってしまうのでPVな感じですけどね。
 ラスト近くは、すれ違いが徹底的になり、ほぼ別れベクトルになったところからの、ポイントの天の川絡みの展開。あえて書きませんが、ベタですけど、こうゆう多くの人が協力して何かが出来ちゃう展開は好きなんですよね。本広克行監督らしいというか、盛り上げ方は上手というか。
ちなみにこの作品は「踊る大走査線」が作られる前の本広克行監督のデビュー作です。

1995年作品。109分。
・出演:観月ありさ、萩原正人、うじきつよし、田中律子、榊原利彦、升毅、伊武雅刀、西村雅彦
・監督:本広克行
・音楽:中村正人
・主題歌:「7月7日、晴れ」





<本広克行監督作品>
 本広克行監督作品は、カット割りが早くテンポがよく、登場人物一人一人に存在感があり、彼らが織り成す会話の小気味良いテンポ。そして、ラストへと向かう盛り上がりのもってきかたが楽しい作品が多いです。
「踊る大走査線」シリーズ(1998~2012)、「サトラレ TRIBUTE to a GENIUS」(2000)、「スペース・トラベラーズ」(2000)、「UDON」(2006)、「サマータイムマシーン・ブルース」(2005)、「曲がれ!スプーン」(2009)、「幕が上がる」(2015)などなど。

 

吹割瀑

東洋のナイアガラと呼ばれる「吹割の滝」(群馬県沼田)に行ってきました。
ナイアガラと呼ぶには?ですが、穏やかな幅広い川が突然裂けて、そこに集中して流れ落ちる水で靄のような水飛沫が上がる姿は「おーっ」と声が出てしまうくらいの見応えがありました。さらに、滝と川に沿った遊歩道が整備されていて、そこを歩くだけでマイナスイオンの恩恵で癒し効果抜群。ただ滝の近くはロープが張られ足元の岩には白線が引かれ警備員の姿もちらほらするのは無粋な感じがして残念ですが(過去に事故があったようです)。それでも、川と滝の周りに聳え立つ奇怪な岩々と優しさ溢れる川からの吹割瀑は、いいものです。

吹割の滝前方

吹割の滝後方
遠くに見えるのが滝の水飛沫です

近くには「道の駅:田園プラザ川場」があり、肉やらパンやらそばやらのそれぞれの建物があり、どこも行列状態で、道の駅に入るために回りは渋滞になる人気。あまりの込み具合に、ソフトクリームを食べただけで、早々と退散してしまいました。

道の駅2
「道の駅:田園プラザ川場」

道の駅1
道の駅内にある稲

そして、そろそろ始まった「りんご」。りんご狩りが近辺の農園で開かれ道端にはりんご販売。さすがにりんご狩りをして食べるほどではないので、販売店を覗くと、今は「赤城」という小粒のりんごが売られていました。そして、ふと農園を方を見上げると、鈴なりのりんご、りんご。

りんご

いろいろな果物が美味しい季節になりましたので、毎週ぶらりぶらりしたいですね。



<滝が出てくる映画>
滝が出てくる映画はといえば、だいだい滝からの落下シーンが思い浮かびますね。
シュワーちゃんがエイリアンとの死闘で滝から落下する「プレテダー」(1987年米)。
十字架を背負った神父が落ちてゆく「ミッション」(1986年英)。

他にあったけな、なんて思いながら探してみると、

ん?幻の大滝見学ツアーに参加した7人のおばちゃんが迷子になってサバイバル生活?
キャスト誰一人知らないや。
監督は「南極料理人」や「横道世之助」の沖田修一監督で、タイトルは、ずばり「滝を見にいく」。
どうも気になるな。
【予告編】

タイムトラベル映像読本



 あまたの小説、ドラマ、映画の題材となったタイムトラベルを分析して主だった映像作品を細かく解説している本です。
タイムトラベラとは文字通り「時間旅行」で、このモチーフの映像作品には、3つのパターンしかないそうです。

そのパターンは、

 1.現在の人が過去か未来へ行く
 2.過去の人間が現在にやってくる
 3.未来の人間が現代にやってくる

なるほど、なるほど。

 1のパターンなら、幼馴染の運命を変えるために過去に戻る「バタフライ・エフェクト」(2004年米)や空母ミニッツが真珠湾攻撃にタイムスリップする「ファイナル・カウント・ダウン」(1980年米)、テロ事件を防ぐために刑事が過去に飛ぶ「デジャブ」(2006年米)、自衛隊が戦国時代にタイムスリップする「戦国自衛隊」(1979年日本)、かな。

 2のパターンなら切り裂きジャックが現代にやって来る「タイム・アフター・タイム」(1979年米)、古代ローマ時代から風呂設計師が現代にやってくる「テルマエ・ロマエ」(2012年日本)、かな。

 3のパターンなら人類を死滅に追い込んだウィルスの拡散を防ぐために犯罪者が現代にやって来る「12モンキーズ」(1995年米)、未来からやって来る犯罪者を始末する殺し屋「LOOPER/ルーパー」(2012年米)、エンタープライズ乗組員がザトウクジラを求め21世紀にやってくる「スタートレック4故郷への長い旅」(1986年米)、宇宙人の侵略の根源を絶つために未来から少女戦士がやってくる「リターナー」(2002年日本)などがあてはまるかな。

 さらに、3のパターンで同じ時間を繰り返すリピータものなら、人気気象予報士が田舎町で同じ1日を繰り返す「恋はデジャ・ブ」(1993年米)、異星人との戦いで戦死すると出撃前に戻る兵士「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014年米) 、交通事故後同じ1日を繰り返す「ターン」(2001年日本)などがありますね。
 
 そしてこのパターンに、HOW(どうやってタイムトラベルするのか)とWHY(なぜタイムトラベルするのか)、結果(タイムトラベルで何が起こるのか)が、組み合わさって無限のストーリーが生まれているそうです。
大ヒットした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「ターミネータ」シリーズ、「猿の惑星」シリーズは、このパターンが複雑に絡み合っているから、展開が読めず面白いのでしょうね。

 本ではタイムトラベル映画の歴史が紹介されていて、世界初のタイムトラベルものは「アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー」で、なんと1921年制作のサイレント映画。アメリカの技師がアーサー王時代のイングランドに飛ばされる内容で、全部で8作品映像化されている有名な作品だそうです。そして、トーキー時代には、貧乏画家が古風な少女と出会い彼女をモデルにしたことで絵が認められる「ジェニーの肖像」(1948年米)がヒット。カラー時代に入ってH・G・ウェルズ原作の「タイム・マシン 80万年後の世界へ」(1960年米)、「猿の惑星」(1968年米)が続き今に至る、ですね。

そして、タイムトラベルで映像世界に影響を与えた10作品が丁寧に紹介されています。
 「タイム・マシン」(1960年米) 【予告編】
 「タイム・トンネル」(1966年米テレビ)
 「ドクター・フー」(1963年~1989年英ドラマ)
 「猿の惑星」(1968年米) 【予告編】
 「スローターハウス5」(1972年米) 【予告編】
 「タイム・アフター・タイム」(1979年米)
 「ファイナル・カウント・ダウン」(1980年米)
 「ある日どこかで」(1980年米)
 「ターミネーター」(1984年米英) 【予告編】
 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年米) 【予告編】

それにしても、タイムトラベルものは実に多い。違う時空に人を存在させるだけで、アイデアとストーリーが広がりやすいからですかね。

       

ジェラシック・ワールド (Jurassic World)



 「ジェラッシク・パーク」の惨劇から約20年後、新たに「ジェラッシク・ワールド」として、生きた恐竜が体験できるテーマパークがオープンされていた。パークの運用管理者を叔母に持つ二人の兄弟ザックとグレイがパークに訪れ、そのエンターテイメントを楽しむが、パークが新たに作り出した凶暴なハイブリッド恐竜「インドミナス」が逃げ出す。  

 2人の兄弟が飛行機、舟、モノレールを乗り継ぎパークに訪れ、VIP対応のホテルの一室から窓を開けると、湖に接した裾が広がった円錐形状のパークの象徴ビジター・センターが現れる。そして、窓からの視点から一気に飛び出し、人口施設と白亜紀を思わせる緑が融合した「イスラ・ヌブラル島」を俯瞰して移動する映像に。パーク内は多くの人々で溢れかえり、牙を向ける恐竜のホログラム映像、子供恐竜たちとのふれあい広場、その中を弟のグレイが、はしゃぎまわり駆け抜けてゆく姿が、見ている側も新しい未知のテーマパークに入り込んで、その場にいると錯覚させられます。さらに、シリーズ初お目見えの大型肉食海棲爬虫類「モササウルス」のプールショー?で、ワクワク感を駆り立てる。

 一方、パークのバックヤードでは、新鮮さを途切らせないように新しい恐竜の開発を行われ、ついには遺伝子組み換えで作られたハイブリッド恐竜「インドミナス」が登場。高く厚いコンクリートの壁に覆われた建物の中に監視され、その監視部屋の強化ガラスには複数のヒビが。そして緑の中にはっきりとは見えないが動く何かが存在して、視線はこちらを向いている。これだけで、一気に不安な予感。
 さらに、前三部作で恐怖の恐竜とインプットされた「ラプトル」が、まさかの調教。でも、犬のように懐いている感じではなく、調教師に牙を向け、少しでも緊張を緩めると襲われそうな緊迫感。不安な予感アップです。

 そして人間側は、パークを訪れたザックとグレイ兄弟。ザックは高校生で興味の対象は恐竜よりは女の子、グレイは恐竜大好き少年。そして彼らの叔母でパーク運営管理者のクレアは、ビジネス優先で子供達はアシスタント任せ。そしてラプトルの調教にあたる元軍人のオーウェン、ワイルドでいかにも頼りになりそうな奴。クレアとはデートをしている仲(一度でご破算)。さらにパークのオペレータは大丈夫か?この二人でと思わせる、ジェラック・パークのTシャツを着るオタクっぽいロウリーと気弱なヴィヴィアン。そして胡散臭そうな危機管理部門幹部のヴィック、どうも軍事絡みの悪巧みがありそう。パークのオーナはヘリ操縦訓練中の行動派インド大富豪サイモン。第1作でも登場した恐竜開発の管理者ヘンリー。と、多彩なキャクターを登場させ、どこかしら危うさが漂う予感。

ここまでの多くの伏線で嫌な予感は絶頂。 さあ、ここから、このシリーズの見せ場!そう恐竜の脱走と暴走です。もちろんハイブリッド恐竜「インドミナス」です。こいつが、とにかくデカイ、「Tレックス」よりでかくて凶暴。さらに良かれと思って多くの遺伝子を組み込んだから、知能が高い、カメレオンにように体をカモフラージュ(地は白い肌)、体温を自由に調整(赤外反応なし)、おいおい、凄いの作りすぎだろ。挙句の果てには、生まれてから何者とも接していないので、本能のまま目に入るものは虐殺!食物連鎖の自分の位置を確かめるために容赦なく虐殺!鋭い長い爪と牙で虐殺!だからこいつが通った跡には、恐竜が死屍累々。恐ろしい。
 そして物語は、お決まりの兄弟達が殺戮の場に取り残され、主人公たちが救助へと向かう。さらに多くの観光客がいるビジター・センターに徐々迫り来る「インドミナス」。人間様を舐めるなよと投入した強力部隊は、もちろん死屍累々(誰も人間が勝つことに期待していませんが)。観光客には「インドミナス」の恐怖だけではなく、飛来して人々に襲い掛かり、吊り上げ飛ぼうとする翼竜たち。逃げ惑う人々への空からの攻撃は、まるでヒッチコックの「鳥」の、デカクで早いバージョン。

 さあ、人間様では対抗できないと踏むと、ここで登場するのは調教された4匹の「ラプトル」ブルー、デルタ、エコー、チャーリー(名前があります)。オーウェンが駆るバイクと物凄いスピードで並走するラプトルたち。おーっ、かっこいい、期待感満載。しかし、・・・・、そう簡単には終わりません。

 ジェラシック・パークが回を重ねる毎につまらなくなっていったので、あまり期待せずに新作を観賞しましたが、常に緊張感を途切らせない展開と、やっぱり凄い恐竜達の映像。恐竜達の表情が豊かになっていて、目の演技までさせているのにはビックリ。満足です。

【公式サイト】 【予告編1】 【予告編2】 【予告編3】

2015年公開アメリカ作品。
・出演:クリス・ブラッド、ブライス・ダラス・ハワード、ニック・ロビンソン、タイ・シンプキンス、ジェイク・ジョンソン、オマール・シー、B・D・ウォン、イルファーン・カーン、ヴィンセント・ドノフリオ
・監督:コリン・トレボロウ
・音楽:マイケル・ジアッキーノ


打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?



 夏休みの登校日。小学生の典道は、「よっ!」と悪友達と合流して、ふざけじゃれあいながら校門へと吸い込まれてゆく。
そして、教室の席に座って、最初に目を向ける先は、なずな。
放課後、悪友と二人きりでプールで泳ぎ、上がった先に目に入るのは、片足をプールに投げ出して仰向けになっている、なずな。
典道は悪友に誘われるまま50m競争に、そして審判は、なずな。
「かまえて、ヨーイ、スタート」の掛け声に飛び込む二人。
典道が圧倒的なリードをつけるが、ターンで足を強打して勝ったのは悪友。その悪友に、2人で花火大会に行こうと誘う、なずな。
教室に戻ると、他の悪友達が、打ち上げ花火は横から見ると丸いか?平べったいか?を言い争っている。そして、夏休みの宿題を賭け、それを確かめるために花火会場を横から見ることが出来る灯台へと皆で行くことにする。
夕方、花火大会が始まる前に、校庭に集まる悪友たち。典道は足が痛むので病院へと立ち寄るが、そこには悪友と待ち合わせをしている、大きなトランクを抱えた浴衣姿の、なずな。
しかし悪友は、なずなをすっぽかし、悪友達との灯台行きを選ぶ。典道は、なずなに悪友が来ないことを告げる。
なずなは、しかたなく病院へ出て行く。しばらくして典道が外へ出ると、そこに佇む、なずな。
2人は一緒に歩き出し、なすなは「君を誘っていたらどうした?やっぱり逃げた?勝ったほうを誘おうと思ったの。君が勝つと思ってた。だから勝つほうに賭けたの」と話し出す。
そこへ突然、なずなの母が物凄い勢いで走ってきて、逃げて嫌がるなずなを無理やり引きずって行ってしまう。なずなの両親は離婚して、なずなは母とこの地を出て行くことになっていた。
唖然とする典道は、もし自分が、あのとき勝っていたら、勝っていたら、自分に憤りながら思い巡らせる。

ついついストーリーをなぞってしまいました・・。ここから、典道が勝っていたらの 「if」 が描かれます。
それは、典道となずな2人だけの秘密の物語。・・・書くのはここまでですかね。

 典道を演じるのは山崎祐太さん。自分でもこの気持ちが何なのかがわからない、ただつい、なずなを見てしまう、目で追ってしまう。なずなの気まぐれな行動に戸惑い嫌そうな顔をしても、一緒にいたいという気持ちがよく伝わってきます。まだ少年ですが、心のどこかにポツと膨らむ少年ではないもの。
 そんな典道を翻弄させるなずなに奥菜恵さん。小学生ながら、どこか妖艶で小悪魔的。ところどころに、男心をくすぐる仕草や言動にドキッとさせられます。プールで目をつぶり仰向けになり、首筋に這うアリを典道に取ってと命令する。競争に勝った典道(ifの世界)がプールから顔を出すとホースで水を掛け、「2人で花火大会行こうよ」、何でと答える典道に「何でって」と笑みを浮かべてまた水を掛ける。駅の待合室で、トイレに行くから付き合ってよと連れて行き、トレイの囲いに帯や脱いだ浴衣を掛けてゆく。そして口紅を引いた姿を見せる。
 反面、浴衣姿にトランクを引きずり歩く、ぶつけようのない両親への苛立ちと自暴自棄への一歩手前の脆さも表現されています。

 そして2人だけの夜のプールシーン、REMEDIOSの「forever friend」をバックに、洋服のまま典道を見ながら静かに水中に沈んでゆく、なずなの妖艶さが際立ちますが、プールの真ん中で浮かび上がり、顔にバシャバシャ自分で水を掛けてからは、無邪気な少年少女に戻る。なずなが「今度会うのは2学期だね。楽しみだね」の言葉を残して泳いで離れてゆくシーンが印象的でした。

 さらに、タイトルの「打ち上げ花火、下から見るか?」の通り、ラストの打ち上げ花火の真下からの、赤く大きく何度も飛び散る花火を、口を半開きで眺める典道の顔がなんともいえない。 ・・・岩井俊二監督作品は残る・・。

【予告編】

1995年公開作品。
・出演:山崎祐太、奥菜恵、半田孝幸、ランディ・ヘブンス、小橋賢児、桜木研二、麻木久仁子
・監督・原作・脚本:岩井俊二
・音楽:REMEDIOS
・挿入曲:「forever friend」 REMEDIOS

幕末高校生



 日本史を教える高校教師未香子は、担任を務めるクラス生徒3人と謎のスマホアプリで幕末の世界へ飛ばされ、怪しい西洋人として捕縛され白州で奉行の取調べを受けることになる。未来人の言うことはまったく話しが通じず奉行は美香子に拷問を命じ、引っ立てられるところに陸軍総裁の勝海舟とばったり出くわして、興味をもった勝海舟に助けられる。そして今が西郷隆盛率いる新政府軍が江戸総攻撃のために進軍してきて、史実では勝海舟と西郷隆盛の間で交わされる江戸無血開城の段取りが出来ていないことに驚く。美香子は自分達の戻るべき未来が変わらないように勝海舟に史実通りになるようにけしかけ、行方の知れない生徒達を探すことにする。

 うーん、SF時代物映画にしては軽い、軽すぎる。
新政府軍の江戸総攻撃前に江戸の人々不安と緊張と阻止すべく幕府の断固たる決意とあせり、なんてものがまったく伝わってこない。江戸の町もドラマでよく見るありきたりのセットだし~。勝海舟と西郷隆盛の無血開城の会談は、長引かせ長引かせ、なぜか誰も期待していない勝海舟のアクションが入って、江戸っ子の心意気を見せたかったのでしょうが(どうでもいいシーンだなこれ)結局軽い。そして4人のタイムスリップもスマホアプリポチで、簡単な光CGでぴょーんとタイムスリップ。幕末に来たものの、それほどの絶望感も死に物狂いの感じもなく、普通のドラマが演じられていく。ストーリも、盛り上がりに欠けて陳腐。安っぽい設定なら、せめて同じ幕末タイムスリップドラマ「JIN」位のエピソードが欲しかったですよ。

 出演は高校教師に石原さとみさん。可愛いです、可愛いですけど、生徒を心から守る教師への成長を見せたかったのでしょうが・・この盛り上がりのない展開ですから、熱血の空回りにもなれきれず、うるさいだけの女性で終わってしまいました。勝海舟には玉木宏さん。江戸を火の海にさせないために尽力を注ぐ男で、三枚目風を装って芯は強い設定なのでしょうが、芯の強さが表に出で来なくて、これも展開の悪さからかな。西郷隆盛には佐藤浩市さん。薩摩隼人には見えず、江戸っ子のようで・・。若手の川口春菜さん、千葉雄大さんも、この陳腐展開に埋もれてしまって生かされず。唯一この軽さに合っていたのは柄本時生さん。美男美女揃いの中で、丁稚どんの様な風貌でコミカルな独特な味を出していました。

 原作クレジットは、眉村卓氏の「名残の雪」とありますが、現在から幕末へのタイムスリップ以外はまったく別の設定と内容なんですよね。守衛をしている男の同僚が亡くなり、その同僚の奥さんから遺された日記を手渡される。そこには、大学生のときに友人と2人で幕末に飛ばされ、友人は浪人に殺される。遺された彼は友人の敵をうつために新撰組に入隊して、隊と共に激動の時代を生きる。短編集ながらよく出来た作品でオチもいい。
さらに「名残の雪」を原作に、ドラマがNHK少年ドラマシリーズ「幕末未來人」とフジテレビ系列で「幕末高校生」(主演:細川ふみえ)が作られていて、なかなかの秀作らしいです。

今回の映画は、残念ながら、折角の面白ストーリーとこの世界のDNAを継承できていなかったです。

【予告編】

2014年作品。108分。
・出演:石原さとみ、玉木宏、柄本時生、川口春菜、千葉雄大、谷村美月、吉田羊、柄本明
・監督:李闘士男
・音楽:服部隆之
・主題歌:「INFINITY≠ZERO」 ナノ
・原作:「名残の雪」 眉村卓

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