ゾンビクエスト(ZOMBIBI/KILL ZOMBIE!)



 会社で働くアジスは憧れの女性テスとデートの約束を取り付けるが、ダメ兄の度重なる電話で会社をくびになってしまう。アジスは、その足で兄の所に向かうが、兄と黒人兄弟のケンカに巻き込まれ警察に拘留されてしまう。そして突然、高々の警報が鳴り、恐る恐る外を出ると町中をゾンビが歩き回っていた。そこへテスからの助けを求める電話がかかり、アジスは彼女を救いにゾンビの元凶となったビルへ向かう。

 コメディゾンビ映画とは、どんなもの?というノリで観てしまったのがコレ。登場人物は中東系、アフリカ系、白人と多種人種が登場するのでアメリカ映画かと思いきや、なんとオランダ映画でした。初めて観るオランダ映画がゾンビ映画とは・・。話しはロシアの宇宙基地が地上に落下して、とあるビルの屋上に墜落する。いやいや普通ならビルの周辺跡形もないでしょ。その宇宙船に付着していた謎の物質が死人をゾンビに変身させる、まあ、ここまではゾンビスタンダードだね。ゾンビはもちろん生きた人間を食らいノロノロと移動し、生きた人間は噛まれるとゾンビに変身してしまう。そして頭部を破壊しないと倒せない。おい!ごくごく一般的なゾンビの設定じゃない。何が違うかと言うと、ゾンビに追われる人々が、ただただ変。まったくヒーローとは無縁の会社をくびになった男アジスと弟の足を引っ張るダメ兄ちゃんモー。その兄ちゃんとケンカする黒人兄弟。彼らがケンカの末に警察署の留置所に入れられ、そこで出くわすのが怪しい銀行マンと美人警官。なんか面子だけは揃ったよ。そして、彼らが向かうのはアジスの恋人?が閉じ込められている宇宙基地が墜落したビル。立ちはだかる無数のゾンビたちを倒しながら・・あれ意外と少ないし、平気で周りを気にせず話しをしていても大丈夫。でもやっぱりゾンビ相手には銃がないとね・・あれ素手か、棒か、指から抜けなくなったボーリングの玉で殴る、まあ何でも倒せればいいか。そして、ゾンビと言えばなんでも揃っている大型ショッピングモールが定番・・おい、そこは町の雑貨屋だろ。手にした武器は、ホッケーのスティック、ハンマー、テニスボール発射機、そしてもう一個ボーリングの玉、まあさっきよりはマシになったかな。まともな武器のボーガンもあるじゃない。あっ、誤射で生きた人間を撃ち殺してるし。なんて、とにかくツッコミどころ満載。けれども結構CGやゾンビ破壊シーンはしっかりしていて、グロくてブラックジョークがいっぱい。半ゾンビ化した仲間を成仏させるために重い物で頭を潰そうとするのですが、その視点がゾンビ側でまだ人間としての意識があり、物を落とされ気絶して目を開けると、更に重い物を落とそうとしている仲間が見え、半ゾンビがエーツと引く。というコントが何度も繰り返されたり。そして最終的なボスゾンビは・・、アジスが恋人と思っていた尻軽女とセクハラ・パワハラ上司。生前の欲がいっぱいだから、なかなか手強い。なんて、もうどうにでもなれ状態のB級、C級、いやD級くらいのゾンビ映画でした。うーむ、でも結構観れたな。

2011年オランダ。86分。
・出演:ヤフヤ・ガイール、ジジ・ラヴェリ、ミマウン・アウレド・ラディ、セルジオ・ハッセルバインク
・監督:マルテイン・スミッツとエルヴィン・ヴァン・デン・エショフ
・音楽:マシーズ・キーブーム

【予告編】




<いろいろな国のゾンビたち>
ゾンビと言えばイタリア、アメリカ作品がメインですが、結構いろいろな国でも作られてますね。フランスのギャングと刑事の抗争にゾンビが加わる「ザ・ホード -死霊の大群-」('10)、フィリピンの病院ゾンビもの「ホスピタル・オブ・ザ・デッド ~閉ざされた病院~」('09)、ノルウェイのナチスゾンビもの「処刑山 -デッド・スノウ-」('09)、日本の浅野忠信と哀川翔主演の「東京ゾンビ」('05)などなど、どこの国もゾンビが好きですね。

 


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3-4X10月



 ガソリンスタンドで働いている昌樹(小野昌彦)は、仕事でヤクザといざこざを起こして騒ぎが大きくなり知り合いのマスターが怪我を負わされてしまう。復讐を考えた昌樹は仲間と沖縄に拳銃を入手しようと向かい、組からもつまはじきされているクズヤクザ上原(ビートたけし)と知り合い、拳銃の入手を依頼する。

暗闇の中に映る男の顔。やがて光が射し込み幕が開けるかのように太陽の下に現れるのは、河川敷の野球グラウンド。そしてその舞台に登場するのは、ぬぼーっとしたひとりの男。この男、何を考えているのが全く顔に表情を出さず、突然キレて想像もしない行動をとり、周りを収集のつかない世界に巻き込むトラブルメーカー。けれども、誰もが仕方ねーなって感じて手助けしちゃうようなヤツ。この男に柳憂怜さん(クレジットは本名の小野昌彦)。素なのか演技なのかも分からないその完璧な無表情さ無くしては、この映画は成り立たなかたでしょう。とにかく、この男から何も感じさせない無の極致が凄い。ノーBGMで完全に雰囲気の匂いも感じさせない効果も相まって、この男の行動が読めません。前半は、たけし軍団総出の野球の試合でこの男の立ち位置を明示して、誰もがそれは・・と危惧することにキレてトラブルを生む男。中盤はそんなトラブルが知らない所で成長しているにもかかわらず、かわいい女の子と親しくなってゆく男。この女の子は二十歳前後の石田ゆり子さんで可愛いです、本当に。そして後半からは一転して沖縄が舞台で、主役であった男がまったく無と化し、正反対の強烈なクズヤクザと弟分が脇役から一気にメインキャラとなります。このヤクザをビートたけしさん、弟分を渡嘉敷勝男さんが演じ、その徹底したクズぶりは流石です。組の金を使い込んで、返すあてが無いので組を襲撃してしまえと言う発想の持ち主で、指を詰めろと言われて弟分に自分の女をあてがい、それを理由に弟分に指詰めを強要する。さらに、その行為を見て興奮して途中から自分も参戦、それも女をどかして・・。気に食わなければすぐにビール瓶を持ち上げガツン。襲撃の武器は米軍兵を騙して入手、もちろん米軍兵はズドン。などなど強烈です。ただ始終自分の女を小突いているのは嫌な感じがしましたが、これもクズの小気味よさを排除させ嫌な奴を刷り込む演出なのでしょう。と言いながらも、襲撃前の極楽鳥花畑で頭に花を差したシーンや、襲撃そして刺客のシーンは、この後の北野監督作品に引けもとらない名シーンだと思います。そして、この台風なような二人が通りすぎた後の男の行動も想像を絶するもので、男の友人の言葉「○○をしないと何も始まらないよ」が頭をよぎりました。

1990年作品。96分。
・出演:小野昌彦(柳憂怜)、石田ゆり子、ビートたけし、渡嘉敷勝男、井口薫仁(ガタルカナル・タカ)、飯塚実(ダンカン)、布施絵理、豊川悦司、ジョニー大倉、ベンガル
・監督:北野武

【予告編】 【この作品をレンタルする】




<ホラー映画の地縛霊>
ホラー映画を観ていると必ずそこには柳憂怜さんの姿が・・と言うくらいよく出ていて、芸名通りのユーレイぽい不思議な存在感がホラー映画のスパイスとなっています。出演ホラー作品は「女優霊」(‘96)、「リング」('98)、「呪怨(ビデオ版)」(‘99)、「水霊 ミズチ」('06)、「エクステ」('07)、「口裂け女」('07)、「怪談」('07)、「クロユリ団地」(‘13)などなど。

   

伊賀忍法帖



 戦国時代、大名三好家の重臣松永弾正(中尾彬)は主君の妻右京太夫(渡辺典子)に横恋慕して自分のものにしようと、幻術師果心居士(成田三樹男)と5人の妖術坊の力を借りる。妖術坊たちは、右京太夫の双子の妹のくノ一篝火(渡辺典子)をさらい、彼女の涙で媚薬を作ろうとするが、篝火は自害してしまう。しかし、妖術坊は、篝火の首と松永弾正の愛妾漁火(美保純)の首をすげ替え媚薬を作ることに成功するが、篝火の心を僅かに持った漁火は、篝火の恋人であった伊賀忍者笛吹丈太郎(真田広之)のところに媚薬の入った茶釜を盗み手渡す。そして、茶釜を狙う妖術坊と復讐に燃える丈太郎の戦いが始まる。

 奇抜な忍法が繰り出される山田風太郎氏忍法帖シリーズ原作作品で、JAC時代の真田広之さん、角川三人娘の渡辺典子さん主演のアイドル角川時代劇です(渡辺典子さんデビュー作品)。物語は戦国時代に悪党と呼ばれた(将軍殺し、主君殺し、大仏焼き討ち)松永弾正が、主君の妻に横恋慕して、幻術師果心居士の力を借り自分のものにしようと企む色欲もの。その弾正の手助けをするのが忍法帖シリーズ定番の忍法使いたちで、この作品では5人の妖術僧が登場し、奇抜な忍法を映画の中で披露します。鎌をブーメランのように飛ばし操る術、処女の涙から作る100%相手を好きにさせる媚薬調合術、首をすげ替える術、固着する液体を吹き付ける術、不死身医療術、指から針を飛ばす術、などなど(忍法とは言いがたいものもありますが・・)。この妖術坊に寅さんの寺男佐藤蛾次郎さん、レスラーのストロング金剛さん、5万回斬られた男福本清三さんなど、役と同じ曲者を揃え味を出しています。そして立ち向かうのは当時アクションアイドルの真田広之さん演じる伊賀忍者丈太郎。だけども妖術坊たちの方が強い!丈太郎は、最初にあっさり殺されかけ、その後もまんまと色仕掛けで囚われたり、いいとこ無し。でもアイドル映画ですから、途中から見違えように、やっつけまくりますけどね。また、この映画、家族や女の子同士が観るであろう作品なのに濡れ場が多い。それも処女の涙から媚薬なんて。流石に渡辺典子さんには、させられないから、忍法で首をすげ替えた美保純さんが代役として濡れ場へ。その後も濡れ場は多いし裸体も多いし、もしかしたらアイドル映画ではなかったのかも・・。また、この頃の時代劇ですから、出演者が綺麗過ぎ。まるで仕立てたばかりの綺麗な着物で、大名ならまだしも、忍者の丈太郎やくノーの篝火までもいい服を着て、何度も別の着物にお色直し。やっぱりアイドル時代劇か・・。でも時代劇好きには堪らない服部半蔵や(活躍しないけど)、松永弾正(ここで死ぬの?)、果心居士(驚きの成田三樹男)、柳生十兵衛の祖父の柳生新左衛門など、マニアック歴史人物を登場させているのはなかなか。それも柳生十兵衛=千葉真一さんが新左衛門とは、いいキャスティングですが、どうみても途中から影の軍団服部半蔵になっているのにはビックリです。そして、もちろんアイドル映画ですから、悪をやっつけ、最後には丈太郎と篝火の姉とが、いい仲になってめでたしめでたしになるのですが、二人を結びつけることになった理不尽に亡くなった篝火が浮かばれない。と思うのは私だけでしょうか。

1982年作品。100分。
・出演:真田広之、渡辺典子、千葉真一、中尾彬、成田三樹男、美保純
・監督:斎藤光正
・音楽:森田富士郎
・主題歌:「愚かしくも愛おしく」 宇崎竜童

【この作品をレンタルする】





<忍法帖の世界>
奇抜な忍法が繰り広げられる山田風太郎氏忍法帖シリーズは、何作か映画化されています。まずは、柳生十兵衛と天草四郎率いる魔界衆の戦いを描いた「魔界転生」('81,'03)、甲賀忍者と伊賀忍者の戦いにロマンスを加えた甲賀忍法帖原作の「SHINOBI」('05)、お色気たくさんの「くノ一忍法帖シリーズ三部作」('64-'65)、その他「江戸忍法帖 七つの影」('63)、「月影忍法帖 二十一の瞳」('64)があるみたいです。

  

夕陽のガンマン



 西部の町に賞金稼ぎの二人の男(クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ)が現れる。彼らの標的は、ギャング団ボスの殺人鬼インディオ(ジャン・マリオ・ヴォロンテ)で、二人は協力を約束して抹殺の機会をうかがう。やがてインディオは銀行襲撃の計画で動き出し、賞金稼ぎたちはその計画に乗じてその命を狙うことにする。

 荒野を歩く馬にまたがった男。突然、銃声がして馬から落ち、一気にカメラは荒野に倒れる男を小さく映し出す。そして、軽快な口笛ソングが流れるマカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)。黒沢明監督の用心棒をパクった「荒野の用心棒」に続く、クリント・イーストウッドとセルジオ・レオーネ監督コンビ作品で、二人の賞金稼ぎと悪党たちの駆け引きと戦いが楽しめる作品です。賞金稼ぎは、雑な皮製のチョッキにポンチョ姿のタバコをふかしたニヒルなイーストウッド。画になります。バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3でマーフィー(マイケル・J・フォックス)が真似したくなるのが分かります(鉄板技は荒野の用心棒ですが・・)。そして、もう一人の賞金稼ぎは、イーストウッドとは対照的に、黒いスーツに身を固め腰でなく前方に銃を斜めにぶら下げ、パイプをくわえたリー・ヴァン・クリーフで、銃身と銃座を伸ばしライフルのように構える姿が様になるシブいガンマン。と、この二人が協力して悪党たちを狙うのですから面白くないわけがない。そして共同戦線を張りながらも、相手を出し抜こうとする駆け引きもさらに面白みを増しています。そして、彼らに狙われる悪党のボスはインディオ。悲しい音色のオルゴールを鳴らして、音が止まったら撃つという相手にもチャンスを与えながらも、その音がいつ止まるのか緊張させビビらせ、確実に相手を仕留めるサディステックな男。やっぱり悪党は癖がなくちゃね。そして、このオルゴールは、ボスのキャクター作りだけでなく、この映画のキーポイントにもなっていて、最後の戦いでは意外なボスと賞金稼ぎの繋がりと結末をも与えてくれます。こんな緊張しそうな映画ですが、イーストウッドのお茶目ガンマンぶりも出てきて、情報を流す代わりに小銭をせびる少年や、汽車の通り道の立ち退き拒否親父とのコメディタッチの絡みも親しみをも感じてしまうイーストウッドならではの魅力でしょう。

1965年イタリア作品。130分。
・出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリオ・ヴォロンテ
・監督:セルジオ・レオーネ
・音楽:エンリオ・モリコーネ




<イーストウッドとセルジオ・レオーネ監督>
この「夕陽のガンマン」以外に、黒沢明監督・三船敏郎主演「用心棒」を西部劇にした「荒野の用心棒」('64イタリア)と、リー・ヴァン・クリーフも登場する「続・夕陽のガンマン」('66イタリア)があります。
 

透明人間



 銀座で見えない何かを轢いてしまった車。やがで、車の下に一人の男の遺体と遺書が発見される。それは、軍部の実験によって透明人間された男の末路であった。その頃、透明人間を騙る強盗団が出没するが、残されたもう一人の透明人間南條(河津清三郎)が、その濡れ衣を晴らすために新聞記者とともにその正体を暴こうとする。

 1950年代の透明人間。戦後間近なので透明人間は軍部の実験によるもので、透明人間はその被害者として扱われて、体を無くし生きるために苦悩する。一人は耐え切れず自殺を図りますが、主人公の透明人間は道化師姿のキャバレーの看板持ちとして細々と生きています。透明人間といえば、その名の通り体が透き通って向こうが見えるイメージですから、1950年代の見せ方は、暗闇をバックに道化師の顔の化粧を徐々に落としてゆくと暗闇に同化。ま、まてよ、よく観ると化粧を落としているようで、手ぬぐいに付いた黒い塗料を顔に塗っている。当時としてはアイデアかもしれませんが・・(冴えないマジックのよう)。でも、その後、空中で自然にめくれる預金通帳や、一歩一歩残る足跡、無人で走るバイクなど、透明人間があたかもそこに存在するかのように見せる、張っている特撮も出てきます。物語は、透明人間としてひっそり生活する男。そこに世間を騒がす透明人間強盗団(決して透明になってこっそり侵入でなく、正統派の強盗ですが)、濡れ衣を晴らすために知り合った新聞記者と強盗団を壊滅させる物語ですが、悲しい運命の男の活躍は、決してスカッとはできず、孤独な盲目の少女との絡みも哀しい。そして、失った体を取り戻す唯一方法は、やっぱり・・でした。映像は1950年代のスカスカの銀座や今となってはクラシックカーそしてラビットバイクなどが出てリアルALWAYSとして観るのもいいかもしれません。

1954年作品。70分。
・出演:河津清三郎、三條美紀、高田稔、土屋嘉男、植村謙二郎、近藤圭子
・監督:小田基義
・音楽:紙恭輔
・撮影/特技指導:円谷英二




<日本の透明人間たち>
旧い映画が多く、本家に近い包帯巻き透明人間が登場する「透明人間現わる」('49)、透明人間の刑事がハエ男と戦う「透明人間と蝿男」('57)、ピンク映画のにっかつ作品「透明人間 犯せ!」('78)、最近ではVシネマで「Oh!透明人間」などがあります。
  

ペーパー・ムーン (Paper Moon)



 1930年代の中西部アメリカ。母を交通事故で亡くしたアディ(テータム・オニール)の前に、母の恋人のひとりであったモーゼ(ライアン・オニール)が顔を出す。モーゼはアディを伯母の家まで送り届ける役目を無理やり押し付けられるが、彼は聖書を騙して売りつける詐欺師であった。そして最初はモーゼにとって厄介者であったアディだが、旅を続けるうちに彼女はモーゼの欠かせない相棒となってゆく。

 不況で禁酒法などが施行されていた暗いアメリカをモノクロ映像で映し出す一方、登場する人物たちは、どちらかというと明るくたくましく生きる人間らしさを感じる楽しい映画です。主人公はケチな詐欺師モーゼと母を亡くした少女アディ。この二人の関係は、微妙に父娘かもしれない可能性がある設定(たぶん33%)。この父親かもしれない男は、新聞の死亡欄を見て、亡き夫から妻への贈り物と称して名前入りの聖書を騙し売る詐欺師。ただ、詐欺と言っても騙された妻たちは夫からのプレゼントだと感激する、なんとなく騙したほうも騙されたほうも納得の詐欺(本当はダメですけどね)。さらに小心者のため小金しか騙せない。ここに無理やり押し付けられ厄介者だった少女が、ひょこっとこの仕事に加わることで、騙す相手の様子を観察して温情が入った絶妙の駆け引きが始まる小気味良さはなんとも言えません。そして、この映画の凄いところは、いまだに破れられていない最年少アカデミー賞(10歳)のテータム・オニールの名演技!ちょっとハスキー声のズボン姿のボーイッシュな少女。でも、髪の毛をとかしリボンをして、ワンピースを着たい女の子らしさは常に持ち合わせる可愛らしさ。でも、一旦仕事(?)となると、その賢さで詐欺師の名相棒というか主導権まで握り手玉にとるしたたかさ。そしてなんといっても、彼女の表現力の豊かさ!喜怒哀楽だけでなく、彼女の細かい心情が伝わってくる、その表情と仕草は凄いとしか言えません。大根役者さんたち、これ観て勉強してよ。また、もう一人の主人公の詐欺師はテータム・オニールの実父のライアン・オニール。二枚目だけど、イヒヒヒヒと笑ったり、小心者で女にうつつを抜かすダメ男を演じていますが、それがしっかりもののアディを引き立て、アディとの微笑ましい掛け合いが生まれてくるキャラクターになっているのは確かです。この作品はこのように、詐欺師と少女のドラマがもちろんメインですが、それ以外にノーカットで見せるスーパークラシックカーのカーアクションなどの見せ場もあります。そして、映画タイトルの「ペーパー・ムーン」は、写真イベントの紙で出来た三日月のオブジェのことで、アンディがモーゼと一緒に撮りたがりますがモーゼは女のところへ・・、しかたなく一人で撮った写真を、ラスト近くにで別れたモーゼの車に忍ばせモーゼが写真を見て感慨に耽る。そんな効果的に使われるペーパー・ムーンですが、映画ポスターでは、しっかり二人でペーパ・ムーンに座った写真が使われていて、この後の幸せな二人を想像できニヤリとしてしまいます。

【この作品をレンタルする】

1973年アメリカ作品。
・出演:テータム・オニール、ライアン・オニール、マデリーン・カーン、ジョン・ヒラーマン
・監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
・原作:「アディ・プレイ」 ジョー・デヴィッド・ブラウン





<痛快な詐欺師たち>
映画の中では度々不謹慎ながら痛快な詐欺師たちが登場して、彼らの巧みに練られた騙しテクニックは観客の溜飲を下げてくれます。ペーパー・ムーンと同じく1930年代のアメリカで、ギャングに復讐するポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの「スティング」('73米)。最近では阿部寛と村上ショージの異色コンビに石原さとみと能年玲奈が加わる「カラスの親指」('13)。など、まだまだあるはずですが・・。
 

プロフィール

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Author:jurrin
映画大好き人間でやんす。日本映画好きでやんす。新旧問わず好きでやんす。
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