Love Letter



 恋人を山で亡くした神戸に住む渡辺博子(中山美穂)は、恋人が昔住んでいた小樽に届くはずのない手紙を出すが、帰ってくるはずのない返信が戻ってくる。それは、小樽に住む恋人と同姓同名の藤井樹(中山美穂)が出したもので、二人の間で不思議な文通が始まる。

 雪の中をぽつんと空を見上げる喪服の女性、一気に山の上から麓を見下ろす映像に変わり、その女性が麓まで歩いて小さくなってゆく姿を追う、そんな幻想的なシーンが、これから始まる不思議で切ないものがたりに誘ってくれます。ものがたりは、亡くなった恋人への忘れ得ない思いを託した手紙を、届くはずのない自分の知らない中学生時代の恋人に送る。「お元気ですか?私は元気です」。しかし、予想もしなかった返信の手紙が戻ってくる。と、SF・ファンタジーの世界に入り込むのかと思いきや、ちゃんと相手は実在します。ここから始まる、遠く離れた二人の女性の交差することがなかった歯車がカチリかみ合い、更に連鎖して、あらゆる歯車が同期して、この素晴らしいものがたりを紡いでくれます。全ての出来事に意味があり見事に繋がるストーリーと、1シーン1シーンがまさしく絵になり、心に残る映像美と演出、一気に岩井俊二監督(原作・脚本も)の虜になってしまう作品です。バックを流れるREMEDIOSさんの切なくも心地よい音楽が、その映像を更に引き立ててくれます。キャストは小樽と神戸の二人の女性を演じる中山美穂さん。普通なら一人二役の場合、まるっきり違う女性となると思いますが、この二人は確かに性格は違うのですが、どこかしら通ずるところがある女性だなと次第に感じ始め、ものがたりが進みにつれ、それもまたパズルがカチッとはまるように歯車のひとつになっていることに驚きます。この難しい一人二役を、可愛らしい仕草で演じる中山美穂さんがすごい。そして彼女を取り巻く、豊川悦司さん、范文雀さん、加賀まりこさん、篠原勝之さんの一人一人が、このものがたりに欠かせない最高の人物像になっています。また、この作品は中山美穂さん演じる二人の女性のものがたりだけではなく、中学生時代の同姓同名の男女のものがたりが並行して回想されます。小樽の女性が、神戸の女性に頼まれ、中学時代の思い出を分け伝えるのですが、そのエピソードの一つ一つが、まるで秀逸な短編集のように妙に心をくすぐるもので、酒井美紀さんと柏原崇さんの二人の演技なくして、こんな気持ちにはされて貰えなかったでしょう。特に図書館のくだりは、現在の生徒をも巻き込み、ラストでキュンとさせる感動的な結末につながるとは、ただただ見事としか言えません。秀作の多い岩井監督作品ですが、私の中では一番の作品です。

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1995年作品。117分。
・出演:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、柏原崇、范文雀、加賀まりこ、篠原勝之
・監督・脚本・原作:岩井俊二
・音楽:REMEDIOS





<小樽が登場する映画>
昔の石造りの倉庫が佇む小樽運河が有名な小樽が登場する映画は、岩井俊二製作のアドリブラブストーリー「ハルフウェイ」('09:北乃きい、岡田将生)、大林宣彦監督の「はるか、ノスタルジィ」('93:石田ひかり)。切ない映画が似合う町なのでしょうか。
 




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てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜



 沖縄の海を愛するケンジ(岡村隆史)は、幼馴染のユーリ(松雪泰子)と結婚してサンゴバーを成功させるが、開発によって自然が失われてゆく海を憂いてバーを辞めてサンゴの養殖を始める。しかし、それは誰一人成功したことがない試みで、挫折を繰り返しながらも家族と仲間に支えられて一歩一歩夢に近づいてゆく。

 「てぃだかんかん」沖縄の言葉で、太陽がさんさんと降り注ぐみたいな意味のようです。この「てぃだかんかん」のもとで育ち、その感性を自然から受け継いだ夫婦。沖縄の海と生き物が大好きでそれ以外はダメな男ケンジ(母からは欠陥品と言われている)=岡村隆史さん、そんな普通でないケンジに幼い頃から魅力を感じている奥さんユーリ(人魚がいると信じている)=松雪泰子さんが、開発によって自然が失われてゆく沖縄の海を再生させるためにサンゴの養殖に全身全霊をかけるものがたりです。でも養殖ですから作業も映像も、沖縄の海なのにやけに地味。青く澄んだ空と海は見せますが、ほんの海の中の一部でチマチマと作業をしているので、途中まではそれほど盛り上がらずに、時はなんとなく過ぎていきます。ただ、登場人物が「○○さー」など、おっとりした喋り方のため、沖縄のノンビリ感が伝染して、こちらもノンビリ構えてしまいましたが・・。後半からは学会でのパッシング、海開発事業、借金とケンジの前に次々難題が立ちはだかり話しは盛り上がりを見せ、ケンジの葛藤と逆境、そしてそれをはねのける逆転ホームランを目指す展開に進んでいきます。その間にも、良き妻や仲間たちの隠れたサポートなど、しっかり夫婦愛や友情もさりげなく盛り込まれています。また、キャスティングも、岡村隆史さんらしいポケーッが様になる演技、普段はのんびりしているのに切れたときは容赦ない本気殴りの松雪泰子さんの気迫に満ちながらもどこか愛情が伝わる演技、なにかあるごとにグーパンを与えるケンジの母=原田美恵子さんの豪快演技、と味のある登場人物に出来上がっています。映画としは、よくある展開のストーリーですが、魅了のある登場人物たちによりプチ(?)感動映画になってるかな。

2010年作品。120分。
・出演:岡村隆史、松雪泰子、吉沢悠、國村隼、原田美恵子、伊賀明賢、赤堀雅秋、渡部篤朗、長澤まさみ
・監督:李闘士男
・音楽:coba
・主題歌:「希望という名の光」 山下達郎

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アウトレイジ ビヨンド



 先代を殺された山王会は加藤会長(三浦友和)のもと勢力を伸ばしていた。その山王会を潰すために、片岡刑事(小日向文世)は、関西の花菱会と火種を起こす策略を練る。そして、その舞台に仮出所した山王会に恨みをもつ元大友組組長(ビートたけし)を引き込み、大友はその抗争に巻き込まれてゆく。

 『全員悪人』このコピー通り、ワルばっかりの北野武監督アウトレイジの二作目です。前作で組を潰され仲間を殺されたうえに刑務所に収監され、ラストで敵対する男に刺されるといったドン底ヤクザ元大友組組長=ビートたけしさんが再び登場。しかし前作みたいにシマを取るとかタマを取るとかのギラギラ感は薄れ(前作でもイヤイヤだったかな)、学校の後輩の片岡刑事=小日向文世さんに無理やり乗せられ担がれる形で抗争に再び足を踏み入れます。前作での歯医者やサウナでの凶暴性は内面に潜ませ、一皮被って一歩引いた感じが伺えますが、その深層に潜ませた復讐心は所々に狂気と共に顔を出し最後まで消えることはありません。そして他の登場人物たちもやっぱり悪人。建前は仁義をうたっていますが、内心はいかに上を潰して、のし上がることを常に考えているような、薄い氷上での欺瞞の醜い駆け引きに満ち溢れています。だから、一歩ボロが出ると氷の下にすぐ落とされる緊張感が常に漂っています。隙あらば躊躇なくズドンですから。この悪人たち、三浦友和さん、加瀬亮さん、田中哲二さんとどちらかといえば悪役が少ない役者さんの悪人演技ギャップと、悪人が似合う(悪人面?失礼)中尾彬さんや塩見三省さんや、ボスキャラが似合う神山繁さんや西野敏行さんなど、悪といっても様々なワルキャラが登場するのもこの映画の見せ所となっています。もちろん皆ワルですが。特にインテリヤクザの加瀬亮さん。ずっと弱々しく人がいい役柄が多く、「SPEC」瀬文刑事役で違う方向に脱皮したなと思ったら、いきなりインテリヤクザなのに実は狂犬ヤクザ役にびっくり(口と頭だけで弱そうですがね)。しかし、彼ら悪人たちは因果応報のように死への道へ、それも惨い刑罰のような仕打ちが待ち受けているのも、この映画ならでは。そして今作品の裏の仕掛け人片岡刑事も、この運命からは逃れられるわけは・・ないですよね。やっぱり。

2012年作品。112分。
・出演:ビートたけし、三浦友和、加瀬亮、小日向文世、西田敏行、名高達男、桐谷健太、高橋克典
・監督:北野武
・音楽:鈴木慶一郎

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<北野武監督以外のビートたけし>
自らメガホンと取る作品では、凶暴性を持ったヤクザ役が定番となっていますが、他監督が撮るビートたけしさんも、凶暴性、狂気に満ち溢れています。ジャージを穿いて拳銃を乱射する殺し屋らしくない凄腕の殺し屋「GONIN」('95:石井隆監督)、極道からも恐れられる暴力男「血と骨」('04:崔洋一監督)、生徒達の殺し合いを監視する教師('00:深作欣二監督)など、北野監督作品とはまた違ったビートたけしさんが観れます。

 

鳥 (The Birds)



 サンフランシスコのペットショップで妹のプレゼントの鳥を探す弁護士ミッチ(ロッド・テイラー)は、店内にいた女性メラニー(ジェシカ・ダンディ)を、からかい怒らせてしまう。しかし、弁護士に興味を持ったメラニーは、彼の住む湾岸町の家にこっそり赴き彼が探していた鳥を置いて来るが、カモメに襲われ怪我をしてしまう。その後、ミッチに食事に誘われて町に泊まり、二人の仲は急接近するが、やがて町に異変が起こり始める。

 アニマルパニック映画のパイオニア的存在でサスペンス映画の神様と称されるアルフレッド・ヒッチコック監督作品です。前半は都会のペットショップでのお嬢様と弁護士の出合い、湾岸町でのお嬢様のいたずら心からの恋への駆け引きが描かれ、これがアニマルパニック映画とはまるで思わせない作りとなっています。さらに、ヒッチコック監督らしい登場人物として、弁護士の偏愛的な母親やサバサバしているかのようで未練がある元カノを登場させ、お嬢様と弁護士に絡ませることで人間ドラマの厚みを増しています。そして、そのドラマの間に、いつもより少し数が多く騒がしい鳥たちやカモメのアクシデントをはさみ、ほんの僅かだけ予兆らしきものを見せる程度にして、いきなり後半からは、突然集まり襲い掛かる鳥たち。それも子供達への攻撃。頭にまとわりつき、突きまわり、そして流血。今なら、あまり見せない光景でしょう。さらに大人たちへの攻撃は、衝撃的で熾烈なものとなります。とにかく、ヒッチコック監督の見せ方がうまい!タバコをふかして佇む女性の背中越しに、鳥が一羽、さらに一羽と増えていき。ふと飛んでいる鳥に気づき、その後を目で追って後ろを振りかえると、鳥たちで埋め尽くされている光景。そーっと、そこから逃げるように離れますが・・(サスペンスの王道です)。また、この作品はBGMが一切無いため、映画・ドラマを観ているというよりは、その場にいるかのように錯覚させる臨場感があり、鳥たちの鳴き声や羽ばたき音がその効果を更に高め、鳥たちが襲ってくる原因解明や反撃のプロセスをいれず、襲われる恐怖をただただ体感させることに徹しているからこそ、観終わった後に悪夢として残る秀作といえます。やっぱり、ヒッチコックは面白い。

1963年アメリカ作品。119分。
・出演:ロッド・テイラー、ジェシカ・ダンディ、スザンヌ・ブレシェット、ティッピ・ヘドレン
・監督:アルフレッド・ヒッチコック
・原作:「鳥 (The Birds)」 ダフネ・デュ・モーリア




<アニマルパニック 60-70年代>
動物たちが人間に襲いかかる映画で、ヒッチコック監督「鳥」以降の70年代に多く作られています。「ジョーズ」('75:鮫)のような秀作もありますが、ほとんどがB級の匂いがする作品で、「グリズリー」('76:熊)、「テンタクルズ」('77:タコ)、「ピラニア」('78)、「スクワーム」('76:ミミズ)、「スウォ-ム」('78:蜜蜂)、「オルカ」('77:シャチ)、まだまだあります。多い!

    


Another アナザー



 父の海外赴任で祖母の家に居候する榊原恒一(山崎賢人)は、胸の病気で転校前に入院するが、その病院で眼帯をした少女鳴(橋本愛)と出会いその後発作を起こす。一ヵ月後新しい中学に転入した恒一はクラスの最後列に、病院であった少女を見つけるが、クラスメイトや教師は彼女は存在しないかのように振舞う。実は、このクラスには昔からある暗黙の了解があり、それを破るとクラスメイトやその家族に不幸が訪れるものであった。

 中学校で存在しているのに、あたかもいないように振舞うクラスメイトと教師。その存在しない少女は、片目を眼帯で覆い、眼帯の下には秘密の目、そして人形の館に住む。これだけで不可思議ワールドに足を踏み入れ、その空気に触れざるを得ないことになります。橋本愛さん演じる謎の少女鳴(めい)は「アバダー」や「貞子3D」のイメージがあったので、てっきり彼女が何かしら悪意を持った存在と思い込んでいましたが、それはただの思い込みで、真実が隠された暗黙の了解というベールが彼女と少年との意思で少しずつ剥がされてゆく展開は、早く先を知りたい、真実を知りたいという欲望をかきたてるものとなります。この辺はやはり館シリーズなどのミステリー作家綾辻行人さんの秀逸な原作の賜物なのかもしれません。映画の登場人物は謎のオーラいっぱいの鳴(めい)=橋本愛さんを始め、ものがたりのストリーテーラ役でもある素朴感のある榊原=山崎賢人さん(最初は神木隆之介さんと勘違いしてました)、卒業生で榊原の叔母で副担任でもある玲子=加藤あいさん(海猿以外で見るの久々)、何かしらの過去を持つ怪しい図書館司書=袴田吉彦さん(素も怪しそう)らが、暗黙の了解に、どのように関わり知りえているのかという疑心暗儀な詮索もミステリー色をそそります。途中から、少々バトルロワイヤル的になってしまい、鳴には見えてしまうソレが人々を陥れる怪物のような存在になってしまったのは、ご愛嬌ということで。決して怖さを求めるホラーではなく、学校青春(?)ミステリーというジャンルとしては見れたかな。でもエピローグはベタ過ぎて予想とぴったり(いまだにこのオチを使うか・・)。あと、なんで毎年不幸が訪れるとわかっているこのクラスを潰さないのかは素朴な疑問として残しておきましょう。

2012年作品。109分。
・出演:橋本愛、山崎賢人、加藤あい、袴田吉彦
・監督:吉澤健
・音楽:安川午朗
・主題歌:「楽園」加藤ミリヤ
・原作:「Another」 綾辻行人

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狂った野獣



 銀行強盗に失敗した犯人たち(片桐竜次、川谷拓三)が、近くを通りかかったバスをバスジャックする。乗客たちは恐怖におののくが、その中に犯人を気にも留めない男(渡瀬恒彦)がいた。そして、バスジャック犯人たちと警察の攻防が始まり、さらにもう一つの事件が絡み意外な展開となってゆく。

 銀行強盗に失敗した犯人がバスジャックして、恐怖におののく乗客と警察の攻防。といった単純ストーリーではなく、バス内の人々の人間模様ともう一つの事件との絡みと意外な展開、そしてカーアクションというよりは車を破壊するシーン満載の映画です。バス内の人々ひとりひとりの設定が妙で、まず犯人の片桐竜次さんと川谷拓三さんコンビ、警察に追われる恐怖を乗客たちにぶつけ、刻々とそのアドレナリン率が高まり落ち着きを無くしてゆき、乗客達に恐怖を伝染させていきます。特に川谷拓三の小心者設定で恐怖を隠しきれない人物像が絶妙。そして、ビシッときめた容姿とサングラス姿の渡瀬恒彦さん、犯人など気に留めずタバコを吸ったり、酒を飲んだり、でも大事そうに楽器ケースを抱える謎の印象があります。それ以外に何か事情があり降ろしてくれと嘆願する女性、口うるさいおばさん、チンドン屋たち、飄々として平気でバナナを食らう老人、髪の毛をセットしたままの女性、小学生二人、そ知らぬ顔で競馬新聞を読む労務者、教師と生徒の母の不倫カップル、心臓に持病を持ち緊張すると命が危ない運転手と個性豊かな乗員・乗客たちを揃え、それぞれが映画のコマの中でしっかりと主張します。そしてバスの外にも、バスをバイクで追う謎の女性や、熱血刑事と白バイ隊員と映画の味を更に高めるスパイス要素が用意され、事件の経過を伝えるラジオDJはモサモサ頭時代の笑福亭鶴瓶さん、とここにもスパイスが。映画半ばまではそのバスジャック犯人と乗客たちのサスペンス恐怖がメインですが、途中からは意外な人物がバスジャックを更にバスジャックする驚きの展開。そこから、本当のバスジャックと警察の攻防が始まり、車がつぶれる、ぶっ飛ぶ、転がる、爆発するシーンが満載。でも場所が安全を見てか?限定した場所なのは日本らしいですが・・。さらにこの映画はところどころになぜかコメディ要素が取り入れられるサービスまであり、ラストのバスジャック犯人たちの結末と相反するもうひとつの事件の犯人たちの犯罪が乗客たちとの利害関係でなかったことにされるのもコメディといえばコメディなのかもしれません。

1976年作品。78分。
・出演:渡瀬恒彦、星野じゅん、川谷拓三、片桐竜次、白川浩二郎、橘麻紀、志賀勝、三上寛、笑福亭鶴瓶
・監督:中島貞夫
・音楽:広瀬健次郎

【予告編】





<バスジャックが登場する映画>
バスジャックされた人々が傷ついた心を癒そうとする「ユリイカ」('00:役所広司、宮崎あおい)、自分を追う警察の素性を知ろうとバスジャックを仕込む「デスノート」('06:藤原竜也)、実際に起こったブラジルのバスジャック事件のドキュメンタリー「バス174」('05日本公開ブラジル作品)
  



劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL



 FBIで犯罪捜査をするサヴァン症候群アタル(中居正広)が所属するSPBが爆破される。時同じくして東京で高圧電流を用いた殺人事件が発生し、捜査一課の沢主任(北村一輝)が捜査に乗り出す。そこに元刑事の蛯名舞子(栗山千明)とアタルも捜査に合流するが、その裏には、かってアタルの同僚そして友であったマドカ(堀北真希)の影が見え隠れする。

 FBIで事件捜査をするサヴァン症候群の青年(?)アタル。テレビドラマで一役有名になった作品の劇場版です。本編では、アタルと同じ時期に訓練を受け信頼し合い一緒に事件を解決した仲間そして友にも関わらず、ある事をきっかけにアタルを敵対視する女性マドカが現れ、彼女が巻き起こす高圧電流を用いた遠隔操作犯罪そしてトラップに捜査陣が翻弄されます。今までならアタルが事件の解決の糸口を探りあてる役目なのですが、マドカに陥れられ容疑者として拘留されてしまいます。この大胆でいて緻密な犯罪者マドカに堀北真希さん。ある事件で逮捕され格子に歯を打ちつけ折り、血だらけの形相を見せたり、その折れた歯の代わりに銀色の歯を入れニンマリする姿はあの美貌からは想像できない狂気を引き出しています(でも踊る大捜査線のキョンキョンとかぶり二番煎じかも)。またマドカが起こす事件と捜査陣、アタル不在の中での展開がスピーディーではなく、途中からよく流れがわからなく点は難でした。どうも、元刑事蛯名舞子=栗山千明さんと現刑事沢主任=北村一輝さんのショートコントがうまく回らないにも関わらず頻繁にインサートされて、話の展開の邪魔をしていたような気が・・。もっとサスペンス性を高ければな・・。そういえば、一人場違いのような車椅子の女性管理官星=松雪泰子さん。彼女だけがシリアス調で、話をキュット締める役かと思いきや、いきなり挨拶で机に頭をゴン、そのボケはいらんでしょ。どうも、テレビドラマではうまく噛み合っていたサスペンスとコメディのバランスが映画版ではいまいち機能しなっかたようです。それにしても、いつもはアタルの驚異的な記憶力による解決パターンが、今回は鑑識たちの調査力・分析力が上だったような気もして、アタル活躍した?今回はマドカへの愛情・友情が、彼女を救ったってことなのかな。と少々物足らなかったです。

ちなみに一緒に観たヨメは、「テレビでいいんじゃないの」、「日本とアメリカ簡単に移動しすぎ」、「話しが途中からよくわからない」と正直な感想をのたまってます(笑)。

2013年作品。120分。
・出演:中居正広、堀北真希、栗山千明、北村一輝、松雪泰子、村上弘明、田中哲司、島崎遥香、光宗薫
・監督:木村ひさし
・音楽:河野伸

【公式サイト】 【予告編】



<サヴァン症候群>
自閉症の中である能力だけ驚異的に突出していることで、アタルの場合は記憶力で、五感で感じたことを全て記憶しています。他の映画では、アカデミー賞受賞作品の、やはり物凄い記憶力の自閉症の男性が登場する「レインマン」('89日本公開:ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ)が印象的でした。




BU・SU



 田舎から上京して芸者見習いをしながら学校に通う森下麦子(富田靖子)は、垢抜けず根暗の性格ブスであった。そんなおり麦子はかって母が演じた「八百屋お七」と出合い、学園祭で演じるはめになる。しかし、その過酷な練習は彼女を変えるきっかけとなってゆく。

 可愛らしい富田靖子さん主演で「BU・SU」のタイトル。はて?そのミスマッチは?主人公麦子=富田靖子さんの、髪がもっさりしていて垢抜けず野暮ったい、その上拗ねたように人を避け寄せ付けない性格ブス。笑顔が可愛らしい富田さんから笑顔が奪われあの無表情な麦子が生まれるとは予想だにしませんでした。始終その麦子が学校そして芸者の場に登場し、そこだけ違う空気が漂い、妙な雰囲気にさせる富田さんの演技は「アイコ16歳」、「さびしんぼう」とはまるで違う女性像でびっくりです。その麦子が「八百屋お七」(恋のために放火し死罪となった少女の話)に出合い、学園祭で演じるはめになることで、友人たちが出来、ヤル気が出てきて自分で閉じていた殻を少しずつ砕いてゆく成長過程を応援したくなります。芸者の修行で芸子の人力車の後を走るシーンが、いつのまにか人力車を追い抜くシーンへの変化はとても印象的でした。と、単純な少女の成長映画のように思えますが、本番の「八百屋お七」を演じるシーンでは、決して上手ではなく、どちらかというと稚拙な踊りと感じて半分がっかり、これで終わりなのかと思いきや、まさかのアクシデント。そして、最後の実際の紅蓮の炎にかぶる乱れた着物とかつらを脱いで広がった髪の毛のお七姿の麦子の妖艶さが、今までの麦子とは別の存在で、これが本当のお七の姿なのだと感じました(これが見せたかったのですね市川準監督!)。

1987年作品。95分。
・出演:富田靖子、大楠道代、伊藤かずえ、高嶋政宏、丘みつ子、イッセー尾形、藤代美奈代、
・監督:市川準
・音楽:板倉文
・主題歌:「あじさいのうた」原由子

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<八百屋お七>
江戸時代前期に恋人に会いたい一心で放火して捕らえられ火あぶりの刑に処せられた少女の話で、長年歌舞伎や浄瑠璃で演じられてきました。映画は「八百屋お七 ふり袖月夜」('54:美空ひばり)、「八百屋お七 江戸祭り一番娘」('60;中島そのみ)、最近ではNHKドラマ「あさきゆめみし ~八百屋お七異聞」('13)で、前田敦子さんがお七を演じています。


ゾンビ(Dawn of the Dead)



 ある日突然、死人が生き返り、生きてる人間を襲うようになる。身の危険を感じたテレビ局員のフランシーンとスティーブン、そしてSWAT隊員のロジャーとピーターはヘリで脱出し、物資が豊富なショッピングモールに立て篭もる。

 毎年のように多種多様なゾンビ映画が作られますが、ゾンビを世間一般に知らしめた、ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ(Dawn of the Dead)」。初めて観たときは、幽霊でも妖怪でも怪物でもない、元人間らしきものが、のそりのそりと近づき人間を襲い食らう映像に衝撃を受け、観た後、食事ができなかったことを憶えています。でも最近じゃ当たり前のように画面に登場するので、すっかり感覚が麻痺してしまったかも。1970年代のゾンビは顔色が悪く、少し血のりが付いている程度で、ガッとは襲ってこないで、のそのそカブリ。だから、集団で来なければ、ひょいひょいと逃げまわることができ、主人公たちも、心得ているのか結構、平気で行動しちゃう、でもちょっとした油断でガブリ。そして自分もゾンビに(ここはベタだね)。そして、ゾンビたちはお茶目。生きていたときの本能なのか、ショッピングセンターに集まってくるのですが、エレベーターに乗ってみたり(後ろ向きにスーッと)、マネキンの手を持ってふらふらしたり、妙にコスプレちっくなゾンビがいたり、最近のゾンビ映画とは違っては迫り来る恐怖は薄いかも。なんで昔は怖かったのだろう??そして、生き残った主人公4人が大型ショッピングモールに立て篭もり自由に中のものを使ったり、食べたりして、いいなこの設定、と思ったのも確か。アメリカのモールだから武器を始め様々なものがあって無敵状態だもんね。ふと、近所のショッピングモールを思い浮かべたら・・・あるものが偏り過ぎて、たぶん生きられない、楽しくない。

1979年公開。イタリア・アメリカ映画。
・出演:ケン・フォリー、ケイラン・ロス、デビッド・エンゲ、スコット・H・ライニガー、トム・サヴィーニ
・監督:ジョージ・A・ロメロ
・音楽:ゴブリン、ダリオ・アルジェンド

【予告編】




<ジョージ・A・ロメロ>
ゾンビといえばジョージ・A・ロメロ監督というくらい多くのゾンビ映画を作ってます。うーん?と思う映画も多いですが・・・。ゾンビ映画は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」('68)、「死霊のえじき」('85)、「ランド・オブ・ザ・デッド」('05)、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」('07)、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」('09)
   



プロフィール

jurrin

Author:jurrin
映画大好き人間でやんす。日本映画好きでやんす。新旧問わず好きでやんす。
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