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伊賀忍法帖



 戦国時代、大名三好家の重臣松永弾正(中尾彬)は主君の妻右京太夫(渡辺典子)に横恋慕して自分のものにしようと、幻術師果心居士(成田三樹男)と5人の妖術坊の力を借りる。妖術坊たちは、右京太夫の双子の妹のくノ一篝火(渡辺典子)をさらい、彼女の涙で媚薬を作ろうとするが、篝火は自害してしまう。しかし、妖術坊は、篝火の首と松永弾正の愛妾漁火(美保純)の首をすげ替え媚薬を作ることに成功するが、篝火の心を僅かに持った漁火は、篝火の恋人であった伊賀忍者笛吹丈太郎(真田広之)のところに媚薬の入った茶釜を盗み手渡す。そして、茶釜を狙う妖術坊と復讐に燃える丈太郎の戦いが始まる。

 奇抜な忍法が繰り出される山田風太郎氏忍法帖シリーズ原作作品で、JAC時代の真田広之さん、角川三人娘の渡辺典子さん主演のアイドル角川時代劇です(渡辺典子さんデビュー作品)。物語は戦国時代に悪党と呼ばれた(将軍殺し、主君殺し、大仏焼き討ち)松永弾正が、主君の妻に横恋慕して、幻術師果心居士の力を借り自分のものにしようと企む色欲もの。その弾正の手助けをするのが忍法帖シリーズ定番の忍法使いたちで、この作品では5人の妖術僧が登場し、奇抜な忍法を映画の中で披露します。鎌をブーメランのように飛ばし操る術、処女の涙から作る100%相手を好きにさせる媚薬調合術、首をすげ替える術、固着する液体を吹き付ける術、不死身医療術、指から針を飛ばす術、などなど(忍法とは言いがたいものもありますが・・)。この妖術坊に寅さんの寺男佐藤蛾次郎さん、レスラーのストロング金剛さん、5万回斬られた男福本清三さんなど、役と同じ曲者を揃え味を出しています。そして立ち向かうのは当時アクションアイドルの真田広之さん演じる伊賀忍者丈太郎。だけども妖術坊たちの方が強い!丈太郎は、最初にあっさり殺されかけ、その後もまんまと色仕掛けで囚われたり、いいとこ無し。でもアイドル映画ですから、途中から見違えように、やっつけまくりますけどね。また、この映画、家族や女の子同士が観るであろう作品なのに濡れ場が多い。それも処女の涙から媚薬なんて。流石に渡辺典子さんには、させられないから、忍法で首をすげ替えた美保純さんが代役として濡れ場へ。その後も濡れ場は多いし裸体も多いし、もしかしたらアイドル映画ではなかったのかも・・。また、この頃の時代劇ですから、出演者が綺麗過ぎ。まるで仕立てたばかりの綺麗な着物で、大名ならまだしも、忍者の丈太郎やくノーの篝火までもいい服を着て、何度も別の着物にお色直し。やっぱりアイドル時代劇か・・。でも時代劇好きには堪らない服部半蔵や(活躍しないけど)、松永弾正(ここで死ぬの?)、果心居士(驚きの成田三樹男)、柳生十兵衛の祖父の柳生新左衛門など、マニアック歴史人物を登場させているのはなかなか。それも柳生十兵衛=千葉真一さんが新左衛門とは、いいキャスティングですが、どうみても途中から影の軍団服部半蔵になっているのにはビックリです。そして、もちろんアイドル映画ですから、悪をやっつけ、最後には丈太郎と篝火の姉とが、いい仲になってめでたしめでたしになるのですが、二人を結びつけることになった理不尽に亡くなった篝火が浮かばれない。と思うのは私だけでしょうか。

1982年作品。100分。
・出演:真田広之、渡辺典子、千葉真一、中尾彬、成田三樹男、美保純
・監督:斎藤光正
・音楽:森田富士郎
・主題歌:「愚かしくも愛おしく」 宇崎竜童

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<忍法帖の世界>
奇抜な忍法が繰り広げられる山田風太郎氏忍法帖シリーズは、何作か映画化されています。まずは、柳生十兵衛と天草四郎率いる魔界衆の戦いを描いた「魔界転生」('81,'03)、甲賀忍者と伊賀忍者の戦いにロマンスを加えた甲賀忍法帖原作の「SHINOBI」('05)、お色気たくさんの「くノ一忍法帖シリーズ三部作」('64-'65)、その他「江戸忍法帖 七つの影」('63)、「月影忍法帖 二十一の瞳」('64)があるみたいです。

  

BU・SU



 田舎から上京して芸者見習いをしながら学校に通う森下麦子(富田靖子)は、垢抜けず根暗の性格ブスであった。そんなおり麦子はかって母が演じた「八百屋お七」と出合い、学園祭で演じるはめになる。しかし、その過酷な練習は彼女を変えるきっかけとなってゆく。

 可愛らしい富田靖子さん主演で「BU・SU」のタイトル。はて?そのミスマッチは?主人公麦子=富田靖子さんの、髪がもっさりしていて垢抜けず野暮ったい、その上拗ねたように人を避け寄せ付けない性格ブス。笑顔が可愛らしい富田さんから笑顔が奪われあの無表情な麦子が生まれるとは予想だにしませんでした。始終その麦子が学校そして芸者の場に登場し、そこだけ違う空気が漂い、妙な雰囲気にさせる富田さんの演技は「アイコ16歳」、「さびしんぼう」とはまるで違う女性像でびっくりです。その麦子が「八百屋お七」(恋のために放火し死罪となった少女の話)に出合い、学園祭で演じるはめになることで、友人たちが出来、ヤル気が出てきて自分で閉じていた殻を少しずつ砕いてゆく成長過程を応援したくなります。芸者の修行で芸子の人力車の後を走るシーンが、いつのまにか人力車を追い抜くシーンへの変化はとても印象的でした。と、単純な少女の成長映画のように思えますが、本番の「八百屋お七」を演じるシーンでは、決して上手ではなく、どちらかというと稚拙な踊りと感じて半分がっかり、これで終わりなのかと思いきや、まさかのアクシデント。そして、最後の実際の紅蓮の炎にかぶる乱れた着物とかつらを脱いで広がった髪の毛のお七姿の麦子の妖艶さが、今までの麦子とは別の存在で、これが本当のお七の姿なのだと感じました(これが見せたかったのですね市川準監督!)。

1987年作品。95分。
・出演:富田靖子、大楠道代、伊藤かずえ、高嶋政宏、丘みつ子、イッセー尾形、藤代美奈代、
・監督:市川準
・音楽:板倉文
・主題歌:「あじさいのうた」原由子

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<八百屋お七>
江戸時代前期に恋人に会いたい一心で放火して捕らえられ火あぶりの刑に処せられた少女の話で、長年歌舞伎や浄瑠璃で演じられてきました。映画は「八百屋お七 ふり袖月夜」('54:美空ひばり)、「八百屋お七 江戸祭り一番娘」('60;中島そのみ)、最近ではNHKドラマ「あさきゆめみし ~八百屋お七異聞」('13)で、前田敦子さんがお七を演じています。


首都消失



 ある日突然、首都圏が謎の雲に覆われ内部との通行・通信が不能になり、外部から家族が住む東京に戻るTVキャスター小出まり子(名取裕子)や電機会社部長朝倉(渡瀬恒彦)は、雲に阻まれ内部に入れずにいた。そして、中を心配する朝倉は雲の調査を、まり子は取材を敢行する。

 謎の雲に覆われ内部の状況がわからなくなった首都圏。そして、家族の安否を心配して何とか解決の糸口を掴もうとする外部の人々。さらに無政府状態になったため、米ソから狙われる日本。と多様な視点を交えたパニック映画で、原作は「日本沈没」や「復活の日」などの小松左京氏で、原作の緻密に計算された物体と人間描写が映像化されています。映画は雲に覆われるまでは内部の人々の生活を伝えていますが、覆われてからは一切内部映像を遮断して、徐々に外部からの調査で数値のみ明らかになり、内部の状況を想像させることで、緊迫感を高めています。この雲が見事に不気味な様相を呈して、巨大で黒と白のコントラストと内部に怪しく光る雷や噴出されるプラズマの様な描写が内部への侵入を拒絶して絶望感を表現しています。また雲の上空を飛ぶ調査機と雲との駆け引き(闘い)も目が離せない出来栄えで、当時CGなど無かった時代にこれだけの存在感のある物体を表現させた特殊技術の高さに驚きさえ感じます。一方、人間ドラマとしては、離婚危機の夫婦やシングルマザーの娘への愛などの要素は設定していますが、やはり雲との闘いとがメインですね。それに政府が機能しなくなったときの無能ぶり(機能していてもかな)と他人事の様に振舞う他地域の人々や祭りの様に見学に来る人々、宗教団体の登場など現代社会にも通ずる社会性も絡めています。でもロックライブは必要だったの?一企業が対応するの?鮎食ってる場合か!雲との最後の戦いの装置はゴジラ映画のようでチープだよ!最後に何であんたが!、と少し興ざめするところもありましたがね。

<小松左京>
小松左京氏の壮大なスケールのSF小説は映画以上に脳内にイメージが広がる素晴らしい作品で、映画と対比して観る・読むとその凄さがわかりますね。ちなみに映画化作品は「日本沈没」('73,'06)、「エスパイ」('74)、「復活の日」('80)、「さよならジュピター」('84)、「首都消失」('87)です。

1987年作品。120分。
・出演:渡瀬恒彦、名取裕子、山下真司、大滝秀治、夏八木勲、ザ・ぼんち・おさむ、石野陽子、財津一郎、岸部一徳、平淑恵、竜雷太、渡辺文雄、丹波哲郎、石橋蓮司
・監督:増田利雄
・特撮監督:中野昭慶
・音楽:モーリス・ジャール
・挿入歌:ロンリー・クライ」 松村冬風

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時をかける少女



 高校生の和子(原田知世)は同級生の吾朗(尾美としのり)と深町(高柳良一)と理科室を掃除中にラベンダーに似た香りで気を失ってしまう。そして、その翌日から和子は同じ時間を繰り返すような感覚にとらわれるが、それは時空を越えるタイムリープ能力であった。

 大林監督の尾道三部作の二作目で三作の中でも、現実にある古い尾道の町並みを幻想的そして効果的に見せている作品で、狭い小路や石階段、神社、木造の商家や時計店など、尾道の街が頭の中にイメージされます。またオープニングのモノクロの星空のゲレンデから、電車で町に戻るにつれ、徐々に部分部分に色が付いていき、最後に黄色の花畑を走る電車で完全にカラー化するセンスは大林監督の色彩を操る映像美、更にタイムリープシーンの街の中のコマ撮り映像と時計シーンも、不安定な視覚=不安な気持ちを表現しているかのように感じ、ところどころに尾道とこの不思議な映像を混ぜ込むことで、自然に映画の中に引きずり込んでくれました。主演の和子は角川三人娘と言われた原田知世さんで、「純粋で可憐な少女」と言葉だけでは簡単に言いあらわせる表現が、彼女にはそのまま当てはまる素材と演技で、その可愛らしさや、目をぱちりととする表情など映画デビュー作とは思えない魅力がありました。和子と絡み吾朗ちゃん役の尾美としのりさんも演技上手ですから、和子のことをどのように想っているのかわかりずらいですがこの情景とものがたりに違和感なく存在します。ただちょっと残念なのが深町君役の高柳さんの棒読みと表現の乏しさは素人演技で、彼のシーンだけが少し浮いてしまっているかな。映画は、筒井康隆氏の原作に近く、幼馴染のはずが実際はほんの少ししか接していないのに二人に芽生える恋と別れが主題となっています。が、個人的には吾朗ちゃん、可哀相。

1983年作品。104分。
・出演:原田知世、尾美としのり、高柳良一、津田ゆかり、岸部一徳、根岸季枝、上原謙、入江たか子
・監督:大林宣彦
・音楽:松任谷正隆
・主題歌:「時をかける少女」 原田知世

<時計店>
和子がタイムリープするときに時計が逆回転する時計店。尾道の梶山時計店。

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さびしんぼう



 高校生で寺の息子ヒロキ(尾美としのり)は趣味の望遠カメラで女子高でひとりピアノを弾く「さびしんぼう」とあだ名をつけた百合子(冨田靖子)をいつも追っていた。そんなある日、ヒロキの目の前に顔を白く塗った「さびしんぼう」と名乗る少女が現れ、ヒロキや母を巻き込み騒動を繰り返す。そしてヒロキは偶然にも百合子と話すきっかけを得て、二人の「さびしんぼう」との物語りが始まる。

 尾道の古い町並みと細い坂、そして瀬戸内海に浮かぶ島をつなぐフェリーなど情緒に溢れ懐古的な映像美を背景に、ヒロキと悪友、幼馴染の少女、口うるさい母とのいつもの生活が繰り広げられる中、白塗りの少女「さびんしんぼう」が現れることで、いつもと違う何かが始まります。それは、ひとときの嵐のようでもありますが、どこか寂しさが漂う不思議さがあります。そしてヒロキの想うもう一人の「さびしんぼう」との淡い恋を後押しするかのような雰囲気もありますが、白塗りの「さびしんぼう」は決してアドバイスをするわけでもなく、嫉妬するわけでもなく、ただヒロキの帰りを心配する保護者のような存在です。そしてこの二人の「さびしんぼう」とのちょっとドキドキな出来事、そして切ない別れはヒロキの大人へのステップと考えていいのでしょうか。二人の「さぼしんぼう」は富田靖子さんが演じていて、セーラ服の可憐な美少女と白塗り顔のお転婆娘(心はさびしんぼう)とまるで正反対の人物像を表現し、更にエピローグでは、大人になったヒロキの横に座る女性とその二人の子供であろう少女も含め一人四役をこなしています。そしてそれぞれが見せる顔の向きが異なりヒロキとの関係を微妙に表しているのも大林監督のこだわりなのでしょう。この作品を含め大林監督の尾道三部作「転校生」、「時をかける少女」は、大人になってもそのノスタルジックな映像とストーリーで、ひととき青春の気持ちを懐かしくいざなってくれる作品たちです。

1985年作品。110分。

・出演:富田靖子、尾美としのり、藤田弓子、小林稔侍、岸部一徳、秋川リサ、砂川真吾、犬山大介、林優枝
・監督:大林宣彦
・音楽:宮崎尚志
・原作:「なんだかへんて子」 山中亘

<言葉>
・「さという字が、びという字をおんぶして しんぼう しんぼうと 言っている」・・ヒロキの写真日誌の一文

<西願寺>
ヒロキの実家の寺(尾道吉浦町)とそこに向かう坂道

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そしてヒロキと百合子が始めて会話をする場所(西願寺の坂を下った四つ角)

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