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(ハル)



 パソコン通信の映画フォーラムの中で、恋人を事故で亡くしたハンドル名「ほし」(深津絵里)と、アメフトの夢を断念した「ハル」(内野聖陽)が知り合い、お互いの傷つき悩む気持ちを打ちあけることで癒され、やがて二人は会ってみたい気持ちになってゆく。

 パソコン通信(懐かしい響き)の映画フォーラムに集い語る人々。その中にハンドル名「ハル」と「ほし」が、映画の話題に始まり、自分の境遇や出来事、気持ちを少しずつ語り、お互いが共感して癒され、親友・幼馴染、恋人未満のような関係になってゆく映画です。この映画、不思議なことにパソコンの文字画面が多く、日本映画なのに読むという行為が必要。その文字画面の間に「ハル」と「ほし」それぞれの悩み多き生活が挿入され、観ていても辛さが感じる映像が流れる。そして文字画面があることで、見た目以上に二人の本当の奥深い気持ちが伝わってきて、途中から文字を読む煩わしさを忘れ、森田監督のその絶妙な世界にまんまと入り込んでしまいました。学生時代からの恋人を事故で失い自分を取り戻せないでいる「ほし」に、深津絵里さん。「踊る大捜査線」の恩田すみれになる前の作品で、心に傷を負って人生と生活が一致しない姿がかぶる役柄です。アメフト一筋から怪我で引退して自分の居場所を探す「ハル」に、内野聖陽さん。ドラマ「臨場」の検視官、ドラマ「仁」の坂本竜馬など男くさい役柄が多いですが、この作品では男くさい体育会系からドロップアウトして目標を失い、これからの自分の生きかたを模索する人物像が描かれています。この二人の傷と癒しが織り成すやりとりから、二人の本当の出合いがあるのだろうと思っていましたが、二人の始めての出会いは新幹線のデッキとその沿線の田んぼ、お互い肉眼では見えにくい中、ビデオカメラを望遠にして手を振る二人。その姿は、手振れが激しい望遠映像。そんな映像でも二人の気持ちは高ぶり、まるで初恋の人に会うような感触がとてもよく、心地よい気持ちにさせてくれます。ここから一気に進展するのかなと思ったら、森田監督簡単には進めません。意外な共通な知人の登場で、盛り上がった気持ちがトーンダウン。ここから始まる二人の長い苦悩が辛い。そしてラストは・・・。
この映画は、90年代前半のインターネットが広がり始め、まだダイヤルアップのピーヒョロローが鳴っていた時代の懐かしさと、二人の純粋な気持ちが伝わり残る好きな一作品です。

 2014年最初のレビューがネットで繋がる気持ちと想い。いつも訪問してくださっている皆様とも、共通の映画の話題、そしてそれ以上に繋がれたらいいなと思っています。今年もよろしくお願いいたします。

1996年作品。118分。
・主演:深津絵里、内野聖陽、戸田菜穂、宮沢和史、竹下宏太郎、山崎直子、鶴久政治、潮哲也、平泉成
・監督:森田芳光
・音楽:野力奏一、佐橋俊彦
・主題歌:「TOKYO LOVE」 THE BOOM 【YouTube】

【予告編】

3-4X10月



 ガソリンスタンドで働いている昌樹(小野昌彦)は、仕事でヤクザといざこざを起こして騒ぎが大きくなり知り合いのマスターが怪我を負わされてしまう。復讐を考えた昌樹は仲間と沖縄に拳銃を入手しようと向かい、組からもつまはじきされているクズヤクザ上原(ビートたけし)と知り合い、拳銃の入手を依頼する。

暗闇の中に映る男の顔。やがて光が射し込み幕が開けるかのように太陽の下に現れるのは、河川敷の野球グラウンド。そしてその舞台に登場するのは、ぬぼーっとしたひとりの男。この男、何を考えているのが全く顔に表情を出さず、突然キレて想像もしない行動をとり、周りを収集のつかない世界に巻き込むトラブルメーカー。けれども、誰もが仕方ねーなって感じて手助けしちゃうようなヤツ。この男に柳憂怜さん(クレジットは本名の小野昌彦)。素なのか演技なのかも分からないその完璧な無表情さ無くしては、この映画は成り立たなかたでしょう。とにかく、この男から何も感じさせない無の極致が凄い。ノーBGMで完全に雰囲気の匂いも感じさせない効果も相まって、この男の行動が読めません。前半は、たけし軍団総出の野球の試合でこの男の立ち位置を明示して、誰もがそれは・・と危惧することにキレてトラブルを生む男。中盤はそんなトラブルが知らない所で成長しているにもかかわらず、かわいい女の子と親しくなってゆく男。この女の子は二十歳前後の石田ゆり子さんで可愛いです、本当に。そして後半からは一転して沖縄が舞台で、主役であった男がまったく無と化し、正反対の強烈なクズヤクザと弟分が脇役から一気にメインキャラとなります。このヤクザをビートたけしさん、弟分を渡嘉敷勝男さんが演じ、その徹底したクズぶりは流石です。組の金を使い込んで、返すあてが無いので組を襲撃してしまえと言う発想の持ち主で、指を詰めろと言われて弟分に自分の女をあてがい、それを理由に弟分に指詰めを強要する。さらに、その行為を見て興奮して途中から自分も参戦、それも女をどかして・・。気に食わなければすぐにビール瓶を持ち上げガツン。襲撃の武器は米軍兵を騙して入手、もちろん米軍兵はズドン。などなど強烈です。ただ始終自分の女を小突いているのは嫌な感じがしましたが、これもクズの小気味よさを排除させ嫌な奴を刷り込む演出なのでしょう。と言いながらも、襲撃前の極楽鳥花畑で頭に花を差したシーンや、襲撃そして刺客のシーンは、この後の北野監督作品に引けもとらない名シーンだと思います。そして、この台風なような二人が通りすぎた後の男の行動も想像を絶するもので、男の友人の言葉「○○をしないと何も始まらないよ」が頭をよぎりました。

1990年作品。96分。
・出演:小野昌彦(柳憂怜)、石田ゆり子、ビートたけし、渡嘉敷勝男、井口薫仁(ガタルカナル・タカ)、飯塚実(ダンカン)、布施絵理、豊川悦司、ジョニー大倉、ベンガル
・監督:北野武

【予告編】 【この作品をレンタルする】




<ホラー映画の地縛霊>
ホラー映画を観ていると必ずそこには柳憂怜さんの姿が・・と言うくらいよく出ていて、芸名通りのユーレイぽい不思議な存在感がホラー映画のスパイスとなっています。出演ホラー作品は「女優霊」(‘96)、「リング」('98)、「呪怨(ビデオ版)」(‘99)、「水霊 ミズチ」('06)、「エクステ」('07)、「口裂け女」('07)、「怪談」('07)、「クロユリ団地」(‘13)などなど。

   

Love Letter



 恋人を山で亡くした神戸に住む渡辺博子(中山美穂)は、恋人が昔住んでいた小樽に届くはずのない手紙を出すが、帰ってくるはずのない返信が戻ってくる。それは、小樽に住む恋人と同姓同名の藤井樹(中山美穂)が出したもので、二人の間で不思議な文通が始まる。

 雪の中をぽつんと空を見上げる喪服の女性、一気に山の上から麓を見下ろす映像に変わり、その女性が麓まで歩いて小さくなってゆく姿を追う、そんな幻想的なシーンが、これから始まる不思議で切ないものがたりに誘ってくれます。ものがたりは、亡くなった恋人への忘れ得ない思いを託した手紙を、届くはずのない自分の知らない中学生時代の恋人に送る。「お元気ですか?私は元気です」。しかし、予想もしなかった返信の手紙が戻ってくる。と、SF・ファンタジーの世界に入り込むのかと思いきや、ちゃんと相手は実在します。ここから始まる、遠く離れた二人の女性の交差することがなかった歯車がカチリかみ合い、更に連鎖して、あらゆる歯車が同期して、この素晴らしいものがたりを紡いでくれます。全ての出来事に意味があり見事に繋がるストーリーと、1シーン1シーンがまさしく絵になり、心に残る映像美と演出、一気に岩井俊二監督(原作・脚本も)の虜になってしまう作品です。バックを流れるREMEDIOSさんの切なくも心地よい音楽が、その映像を更に引き立ててくれます。キャストは小樽と神戸の二人の女性を演じる中山美穂さん。普通なら一人二役の場合、まるっきり違う女性となると思いますが、この二人は確かに性格は違うのですが、どこかしら通ずるところがある女性だなと次第に感じ始め、ものがたりが進みにつれ、それもまたパズルがカチッとはまるように歯車のひとつになっていることに驚きます。この難しい一人二役を、可愛らしい仕草で演じる中山美穂さんがすごい。そして彼女を取り巻く、豊川悦司さん、范文雀さん、加賀まりこさん、篠原勝之さんの一人一人が、このものがたりに欠かせない最高の人物像になっています。また、この作品は中山美穂さん演じる二人の女性のものがたりだけではなく、中学生時代の同姓同名の男女のものがたりが並行して回想されます。小樽の女性が、神戸の女性に頼まれ、中学時代の思い出を分け伝えるのですが、そのエピソードの一つ一つが、まるで秀逸な短編集のように妙に心をくすぐるもので、酒井美紀さんと柏原崇さんの二人の演技なくして、こんな気持ちにはされて貰えなかったでしょう。特に図書館のくだりは、現在の生徒をも巻き込み、ラストでキュンとさせる感動的な結末につながるとは、ただただ見事としか言えません。秀作の多い岩井監督作品ですが、私の中では一番の作品です。

【予告編】 【この作品をレンタルする】

1995年作品。117分。
・出演:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、柏原崇、范文雀、加賀まりこ、篠原勝之
・監督・脚本・原作:岩井俊二
・音楽:REMEDIOS





<小樽が登場する映画>
昔の石造りの倉庫が佇む小樽運河が有名な小樽が登場する映画は、岩井俊二製作のアドリブラブストーリー「ハルフウェイ」('09:北乃きい、岡田将生)、大林宣彦監督の「はるか、ノスタルジィ」('93:石田ひかり)。切ない映画が似合う町なのでしょうか。
 




リング



 ライターの浅川玲子(松嶋菜々子)は中高生の間で噂になっている呪いのビデオを取材していた。そんなある日、姪(竹内結子)が不可解な死に方をして、不審に思い調べると、姪と一緒に旅行に行った他の三人も同日同時刻に死亡していた。そして、玲子はその旅行先を訪れ謎のビデオを発見して見てしまう。そのビデオは見てから一週間後に死を招くビデオであった。

 「呪怨」と双璧のJホラーの代表作だけあって、いつ見てもその完成度の高さに感嘆します。そのビデオを見ると一週間後に死を招くという都市伝説まがいの呪いのビデオ。普通この題材だと、無闇に人が死んだり、安易な展開と結末に陥るのですが、このリングの場合は、最初にビデオを見たがゆえに訪れる死の怖さを女子高生(若かりし頃の竹内結子さん)で衝撃的に印象付けて、次にそのビデオを見てしまった主人公たちが、一週間のリミットが刻々と迫る中で、焦りと絶望と僅かな希望をもって、呪いの真実に近づいてゆくサスペンス要素が十分に発揮されています。そして、その呪いの元となる山村静子、貞子親子の非科学的なエピソードを、どんよりとした大島の風景や竜二の見る思念で表現することで見ているものをぐいぐい映画の中に引き込んでゆきます。それは、まるで自分がそのビデオを見てしまったかのように・・。そして有名な竜二の呪死のシーン。それまでの幽霊という概念を覆す「貞子」登場は、この作品以降のホラー映画の演出を一変させ、観客と、映画の中の世界との境界を無くしたともいえます(画面から出てくるかも)。また、この作品は、松嶋菜々子さん、真田広之さん、中谷美紀さんらキャストがしっかりしていて、近年の演技ベタ役者起用のホラー映画では見られない重みさえ感じます。なんとなくざらついた映像感もいいのかもしれません。と、折角いい作品の「貞子」が年を重ねるごとに怪物化そして下手をしたらお笑いのキャラになってしまったことに残念至極。あー、良質のホラー作品が見たい。

1998年作品。95分。

・出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、佐藤仁美、沼田曜一、雅子、大高力也、伴大介、柳ユーレイ
・監督:中田秀夫
・音楽:川井憲次
・主題歌:「feels like "HEAVEN」 HIIH
・原作:「リング」 鈴木光司

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 リング


学校の怪談



 忘れ物を取りに学校に戻った妹ミカを捜しに今は使われていない旧校舎の中に入るアキ。そして、いたずら目的で旧校舎に入るケンスケとショウタ。さらに他の子供たちや教師小向(野村宏伸)も何者かに引き寄せられるかのように中に導かれ閉じ込められてしまう。そして校舎の中では次から次へと怪奇現象が起こり、子供達に迫ってくる。

 熱い夏の到来とぴったりな心の芯までひんやりさせる怪談もの..ではなく、まるで不思議なおもちゃ箱の中に紛れ込んでしまったかのような、子供心には少し怖く、それでいて何処かワクワクするような怪談ものです。舞台は今は使われていない2階建ての古い旧校舎。もちろん奇妙な噂話がある曰くつき物件です。この中を引き寄せられ閉じ込めれた子供達が、動く人体模型やら定番お化けたちに追われ、上へ下へと走り逃げ回り、行き着くところは音楽室や美術室、理科室など、絶対ここにはなにかあるでしょ、いるでしょという教室にお約束どおり入ってくれます。 とまあ、昔からある学校七不思議が楽しく映像化されています。造形やCGは1990年代作品なのでご愛嬌ですが..。ただ、途中から怪談ものから怪物ものに話しがすり替わってしまったのはちょっと残念かな。でもドタバタ映画の中にも、ちゃんと淡い恋心や友情の芽生えなどのエピソードを入れ込み、子供の頃の「楽しい夏」を想い出させる映画ではありました。

1995年作品。100分。
・出演:野村宏伸、杉山亜矢子、遠山真澄、米沢史織、熱田一、塚田純一郎、岡本綾、余喜美子、笹野高史
・監督:平山秀幸
・音楽:Fuji-Yama
・原作:「学校の怪談」 常光徹
・ロケ地:木造2階建ての旧校舎は静岡県富士宮市立富士根南小学校(残念ながら2000年に取り壊される)

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Author:jurrin
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