FC2ブログ

サマータイムマシーン・ブルース



 真夏のうだる暑さの中、大学のグラウンドでまったりと草野球をするSF研5人の男子。そして彼らを被写体にカメラを構えるカメラクラブの女子。時おり、彼らを遠くから見つめる人影が見え隠れするが、夢中な彼らは気が付かない。やがて彼らはクーラーの効いた部室に戻り涼をとるが、ひょんなことからクーラーのリモコンを壊してしまう。翌日から暑さとの我慢くらべを強いられる彼ら。そこへ突然、マッシュルームカットの怪しい男とタイムマシーンが現れるが、彼らはさほど驚くこともなく、前の日に戻って壊れる前のリモコンを持って帰る妙案(?)を思いつく。

「タイムトラベル」、数多くのSF映画の題材のきっかけとして登場する現象で、普通は戦国時代や幕末、はたまた何かしらの重要な目的のために過去や未来の時代に飛んだり、飛ばされたりするスケールがあるものですが、このものがたりは、暑さを回避するために「エアコンのリモコン」を手に入れる目的で奔走する身近感。そしてこの使命(?)に勝手に名乗りを上げ、いとも簡単にタイムトラベルしてしまうのが、SF研の悪乗り5人男子。そして、SF研の割にはタイムパラドックスなどお構いなしに、自分達が舞い戻ったことを残そうとしたり、過去の自分達を面白半分に尾行したり、挙句の果てには、過去のものを持ってきてしまったりと、やることがハチャメチャ過ぎて・・・面白い。やがて、彼らは自分達の犯したタイムパラドックスによって、世界が消えてしまう可能性を理解して、過去の悪さを修正しようと悪戦奮闘して昨日と今日を行き来するのですが、既にそこらじゅうに矛盾が生じていて、それを取り繕う様が・・・また面白い。そして絶妙に過去の自分達と、未來の自分達が交差するシーンがうまく構成されていて、時間の経過とともに、過去のなんでもないシーンが、意味のあるシーンへと変わる面白さがあります。
 舞台は、香川県の五重の塔がある善通寺あたりで、その古さと懐かしさを感じる町並みに、彼らのドタバタ劇が、気持ちは焦っていてものんびりした感じで流れていくのが、なんともマッチしています。街中の銭湯や、販促の大型人形が置かれたうどん屋と両隣の薬屋、怪しいB級映画を上映している寂れた名画座など、どこかほんわか。そしてキャストは、SF研で一番最初にタイムパラドックスの危険に気付いて奔走する甲本に瑛太さん。甲本が密かに思いを寄せるカメラクラブ柴田に上野樹里さん。同じくカメラクラブ唯に真木よう子さん(知的ぽいメガネがいい)。タイムマシーンが専門の万年大学講師の穂積(通称ホセ)に佐々木蔵之助さん。となかなかの面子。そして彼らを翻弄するSF研のメンバー(座喜秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典、本多力)たちの、飄々とした悪乗りぶり全快が、この映画を持ち味となっています。面白かった。

【予告編】

2005年作品。107分。
・出演:瑛太、上野樹里、与座喜秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典、本多力、真木よう子、佐々木蔵之助
・監督:本広克之
・音楽:HALFBY
・主題歌:「LCDD」 Tommy heavenly




<香川ワールド>
 本広克之監督の香川ワールドムービーにこの作品の登場人物たちが顔出ししていて、知ってる人はニヤッとさせられます。登場作品は「UDON」(‘06:ユースケ・サンタマリア主演)、「曲がれスプーン」(’09:長澤まさみ主演)。

 


リターナー



 何者かに襲撃され銃弾が飛び交う軍事基地らしき施設で、ひとりの少女がまばゆい光が放射される装置に飛び込む。貨物船で子供の人身売買の取引を行う二つの組織を襲うロングコートを見にまとった長髪の男。次から次へと組織の男たちを容赦なく倒し、男が付け狙う組織の幹部の眉間に銃口を向けるが、突然現れた少女に気を取られた隙に男を取り逃がしてしまう。この長髪の男は、闇組織から金を奪う「リターナー」ミヤモト(金城武)。ミヤモトが狙うのは、かってミヤモの仲間を殺した溝口(岸谷五郎)。そして突然現れた少女は、未來から戦争を防ぐためにタイムトラベルしてきたミリ(鈴木杏)。いきなりのミヤモトの派手なガンアクションと溝口のいかにも悪人らしい振る舞いに映画に引き込まれ、さらにミリが未来から来た理由とタイムリミットのある使命が明らかになり、更にググッと引き込まれます。作品は、どこかハリウッド映画のパクリのような設定やシーンもありますが・・(ゆっくり動く銃弾をかわすミヤモト「マトリクス」(’99)。家に帰りたいと訴える宇宙人「ET」(’82)。空間から光とともに現れる人や擬態する武器「ターミネータ」(’84)、装甲強化服を身に付けた宇宙人と人の口を借りて語るシーン「インデペンデンスデイ」(’96)などなど)・・「ALWAYS 3丁目の夕日」や「永遠の0」のVFX畑の山崎監督作品ですから、なかなか映像は見られます。大型旅客機やVTOL戦闘機の擬態宇宙船、いい、いい。装甲強化服を身に着けた宇宙人、巨人兵のように山の半分を吹き飛ばす破壊的武器を備えた宇宙船、さらにアクロバティックガンアクションやバイクカーアクションなども、どこか見たことあるような気がしますが完成度は高いです。そしてストーリーは、ミヤモトと溝口との因縁の対決とミヤモトがイヤイヤ助けるミリの使命が、偶然にも結びついてひとつの目的となり、宇宙生命体とチャイニーズマフィアが絡み合いクライマックスへと進んでいきます。この息もつかせぬ展開の合間に、ミヤモトとミリの楽しいやりとりや二人を助ける樹木希林さん演じる飄々とした情報屋兼調達屋の謝とのやりとりが、緊迫している2人に僅かばかりの休息を与えるかのよう挿入され、そのシーンの積み重ねが、荒んだ世界で生きる2人に再び永遠の安息を取り戻させようとするかのようでした。だからラストは・・。

【予告編】

2002年作品。116分。
・出演:金城武、鈴木杏、岸谷五郎、樹木希林、高橋昌也、岡元夕起子
・監督:山崎貴
・音楽:松本晃彦
・主題歌:「Dig in」レニー・グラヴィッツ





<VFXマエストロ山崎貢監督>
映画にあったVFXをマエストロのように使いこなす山崎貢監督。その活用はSFだけではなく、昭和30年代の世界を蘇らせた「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズ、戦国時代を蘇らせた「BALLAD 名もなき恋のうた」、太平洋戦争のゼロ戦の勇姿を蘇らせた「永遠の0」と、その映像の質は高く、これからどのような題材を見せてくれるかの期待させてくれます。ちなみに最新作は「寄生獣」。【寄生獣予告編】

 
 




幸福な食卓



 ある朝、中原家の食卓で、父が突然「父さんな。今日で父さんを辞めようと思う」と宣言する。その言葉を聞いた中学生の佐和子は、一瞬「えっ」と発するが、その後のショックは少なかった。中原家では、家族想いの母が突然家を出て、高校で全国一位であった兄が農業に進む、突然宣言家族であった。

 いきなりの父から突拍子もない宣言で始まるものがたり。これは、ひとりの少女の悩み多き成長記ではなく、家族全員の成長記で、家族とは?他人とは?をあらためて考えさせられる秀作です。ものがたりに登場する四人家族のひとりひとりが悩み苦しんだ末に出される宣言は、決して軽々しいものではありません。父は父親を辞め、母は家を出て行く、兄はエリートを捨て農業へ、しかし家族がすんなりこの宣言を受け入れ、その変化に順応する空気からは悲壮感はなく、鈍詰まりから何かを見つけるためには、このようなリセットもいいのだろうなと感じさせてくれます。この四人家族で唯一宣言がなく受け入れる側の娘に、北乃きいさん。自然な素朴な感じがいい。おちゃめな明るい兄に、平岡祐太さん。家を出た母に、石田ゆり子さん。とにかくスリムで可愛い、和菓子屋の制服姿もいい。父を辞めた父に、羽場裕一さん。四人ともいつも方向転換して明るい顔を見せていますが、一転して現れる180度別の顔が、彼らが宣言せずにはいられなかった闇を垣間見せます。この家族に「他人」という刺激が入り込むことで、彼らの闇を救う様はいいです。その刺激は、佐和子の中学校に進学高校に進むために転校してくる「大浦勉学」(勝池涼)。明るく前向きで、真面目な佐和子とは対照的だけれども、波長が合う。中学・高校時代の二人を見ていると微笑ましく楽しく、佐和子が大浦との別れ際に、嬉しそうに発する「おっ」が、可愛らしく二人の関係を応援したくなります。そして、もうひとつの刺激が、兄の恋人「小林よしこ」(さくら)。平気で二股して、ぶっきらぼうで口の悪い女性。でもその態度とは違い、土産に手作りのシュークリーム(卵のから入り)を持参したり、兄の部屋にある映りの悪い写真の替わりに、手書きの自画像を持ってきたり、普段表に出さない内面をチラッと見せるあたりが、当初嫌っていた佐和子が、この人が兄を変えると信じてしまうほどの刺激となっています。この刺激たちが残す、「家族は簡単に作れないけど、簡単に壊れない」、「気付かないところで、色々守られている」という言葉が、ある出来事で最も傷ついて立ち直れない佐和子を引き上げる助けをしてくれます。そしてラストの、ミスチルの「くるみ」をBGMに、川沿いの土手を歩く佐和子。足取りが重く、時折後ろを振り返りながら歩く様子が、徐々に前だけを向き足取りもしっかりと変わってゆくシーンは、まさしくその言葉通り。そして、そのシーンにインサートされる、食卓に並べられた四枚の皿の画像。これもまた、その言葉通り。

【予告編】 【くるみ】

2007年作品。108分。
・出演:北乃きい、勝池涼、平岡祐太、さくら、羽場裕一、石田ゆり子
・監督:小松隆志
・音楽:小林武史
・主題歌:「くるみ –for the Film- 幸福な食卓」 Mr.Children 
・原作:「幸福な食卓」瀬尾まいこ


竜馬の妻とその夫と愛人



 幕末の志士坂本竜馬が暗殺されてから新政府となって13年後、竜馬の十三回忌を計画していた勝海舟は、竜馬の妻おりょうを捜して出席させることを菅野覚兵衛に命じる。その頃、おりょうは横須賀でテキヤの松兵衛と結婚し、愛人の飴売り寅蔵と酒を浴び逢瀬を重ねていた。

 竜馬の妻おりょうが美人で勝気な性格というのは伝承されていますが、鈴木京香さん演じるおりょうはまさにそのイメージにぴったり。更に竜馬を失い世捨て人同然に、今をただ生きる姿に悲壮感と哀れみさえ感じます。そんな、おりょうですから江口洋介さん演じる寅蔵が、竜馬のような革新的思想の持ち主で、竜馬にもあった背中のたてがみなを持っていると知ってしまったら、ぞっこんになってしまいます。ただこの虎蔵にはウラがありますが・・。このおりょうの現夫は、テキヤの占い家業の松兵衛、この夫は妻が愛人に寝取られても何も言えない情けない男。ただ妻のことは心から愛しているよ!オーラはそのおりょうを見る眼差しでよく分かります。この松兵衛を木梨憲武さんが演じていますが、ノリはほとんどテレビバラエティの寸劇のままで、演技なのでしょうが、テレビで見る憲さんのままです。更におりょうの義弟で、おりょう捜索を命じられた菅野覚兵衛に中井貴一さん。おりょうを愛人から松兵衛の元に取り戻すために、松兵衛と共同戦線を引くことで凸凹コンビ、いや凸凸コンビが登場。このコンビのおとぼけぶりは楽しいです。どっちがボケでツッコミというわけでなく、二人ともその両役をこなすことで不思議な漫才が見られます。とくにクライマックスのおりょうと虎蔵、松兵衛と覚兵衛四人の話し合いでコロコロ気持ちが変心し、突っ込まれハッと我に返るボケぶりはなかなか。この作品は元々が舞台作品らしいので、この展開は舞台劇そのもの。そして最後のオチは竜馬暗殺の真相というビックリするもの。あっ、あのフリがここに効いてくるとは。

2002年作品。115分。
・出演:鈴木京香、中井貴一、木梨憲武、江口洋介、トータス松本、橋爪功、小林聡美
・監督:市川順
・音楽:谷川賢作
・原作:三谷幸喜




<映画の中の竜馬>
この作品ではトータス松本さん演じる竜馬が、おりょうの回顧録(夢)の中で登場します。最近では大河ドラマ「龍馬伝」の福山雅治さんのイケメンさわやかイメージがありますが、映画では「幕末青春グラフィティRonin坂本竜馬」(’86)の武田鉄也さん(おりょうは原田美枝子さん)。「幕末」(’70) の中村錦之助さん(おりょうは吉永小百合さん)。「竜馬を斬った男」(’87)の根津甚八さん。「竜馬暗殺」(’74)の原田芳雄さん。人斬り以蔵の半生を描いた「人斬り」(’69)の石原裕次郎さん。女性沖田総司に惚れる竜馬が登場する「幕末純情伝」(’91)の渡辺謙さん。など名立たる俳優さんが演じているのて見比べてみるのも楽しいです。

   


スペーストラベラーズ



 孤児院で育った保(金城武)、功(池内博之)、誠(安藤政信)の仲良し三人組は、皺だらけの写真に写った名も場所も知らぬ青い空と透き通る海の南の島に行くために銀行に押し入る。そして金庫室までたどり着き現金強奪成功と思えたが、機転を利かせた警備員が内側から金庫室を閉めてしまう。やがて警察隊が銀行を包囲して逃亡できなくなった三人は立て篭もりを決意するが、警察をかく乱するために6人の人質に犯人の役目を命じ、誠が好きなアニメ「スペーストラベラーズ」の9人のキャラクターが、自分達を含む9人に似ていることから、犯人グループ名を「スペーストラベラーズ」として、それぞれにアニメのキャラクターの名前をつける。そして、最初は戸惑いを見せていた人質だが、やがて犯人たちに共感し始め、犯人でいることを楽しみ、9人の仲間として警察隊を翻弄してゆく。

 オープニングがいきなりSFアニメの予告編から始まり、車に乗る銃を持って楽しそうに話をする3人の若者、そしてこれから襲われる銀行内の所々での繰り広げられるプロローグ。踊る大走査線のスタッフと本広監督とあって映画の導入の雰囲気が似ていて、登場する役者さんも結構かぶっています。ちなみに、深津絵里さん(刑事→人質の銀行受付係)、甲本雅裕さん(警察官→人質の銀行員)、筧利夫さん(キャリア警察官→人質の男)、小木茂光さん(管理官→SIT隊長)、高杉亘さん(SAT隊長:同役)などなど、そしてオリジナルキャストも犯人役のリーダー金城武さん、アニメ好きな安藤政信さん、無口な戦争オタク池内博之さん、そして国際テロリスト役の渡辺謙さんなど個性豊かで、更に深津絵里さんのダメ男の婚約者にダウンタウンの浜田雅功さん、銀行支店長の大杉蓮さんに、警備員のガッツ石松さんが加わり、これはどんな、はちゃめちゃ破天荒劇になるかと期待していましたが、うーん微妙。確かにノリは踊る大走査線で、物語の伏線を色々と張り巡らせて全てのエピソードを一つにまとめ上げる展開と小エピソードを挟んで笑いとシリアスを交えた内容にはなっていますが、アニメのスペーストラベラーズにかぶる個性キャラのそれぞれの特技を生かしたエピソードが少なく、9人でワイワイやっている身内コントになってしまっていて勿体無い。犯人+人質VS警察の攻防戦もアクション性や意外性が弱く映画の盛り上がりには欠けているかな。ただ小ネタは面白い。金庫内に閉じ込められた真面目強面支店長(大杉蓮)と頼りない警備員(ガッツ石松)のやり取りは、金庫の扉を挟んでまったく銀行内とは別世界の物語で、こうゆうネタ入れはいいです。そしてラストの展開は、どこかで見たことのある洋画のシーン(古い名作西部劇)。でも踊る系だからオチがあるでしょと思ったら、アレ無いよ、これで終わり?。

【予告編】

2000年作品。125分。
・出演:金城武、安藤政信、池内博之、深津絵里、渡辺謙、甲本雅裕、筧利夫、鈴木砂羽、武野功男
・監督:本広克行
・音楽:松本晃彦
・主題歌:「ナウ・アイム・ヒア」クイーン




<銀行強盗日本映画>
銀行強盗映画はやっぱり迫力と緊張感が出ている作品が多いです。松田優作さん主演の「野獣死すべし」('80)、北野監督作品「HANABI」('97)、萩原健一さん主演の「いつかギラギラする日」('92)。そしてコメディタッチの特殊技能を持つ四人の「陽気なギャングが地球を回す」('06)などがあります。

 

 

プロフィール

jurrin

Author:jurrin
映画大好き人間でやんす。日本映画好きでやんす。新旧問わず好きでやんす。
リンクフリーです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
1578位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
邦画
59位
アクセスランキングを見る>>
アクセスカウンタ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR