ウエストワールド(WestWorld)


 西部開拓時代の町を体感できるテーマパーク「デロス」を訪れたマーティンとブレインの前に、黒ずくめのガンマンが現れ挑発するが、マーティンとの決闘で撃ち倒される。しかし翌日、二人の前に死んだはずのガンマンが姿を現す。ガンマンはゲストを楽しませるロボットで決してゲストに危害を加えない安全なシステムで管理されていた。そして再びマーティンがガンマンを打ち倒すが、その翌日もガンマンが現れ決闘を挑む。しかし何故か勝つはずの決闘でブレインが撃たれてしまう。そして「デロス」のシステムが狂い出し、ロボットたちがゲストを殺戮し始める。


 西部開拓時代の町、古代ローマ帝国、中世ヨーロッパの宮殿の3つの体感型テーマパーク。1日1000ドルと高価ですが、普段、理性のもとで抑制されていた人間の欲望を解放できる大人のためのテーマパークです。ですから、暴れることも、フリーな恋愛も、そして殺人もOK。もちろん相手は本物の人間ではなく、人間と区別がつかないほど精巧に作られたロボット。見分けかたは唯一未完成の掌を確認すること。
このテーマパークに二人の男が来園する。一人はリピーターのブレイン。もう一人は初来園のマーティン。彼らが選択したテーマは西部開拓時代で、まさしくハットとベストを着たカウボーイ姿に腰には拳銃。町を訪れ早速バーに赴き、頼んだ酒はアルコール度が高く、ウッ、ウォッとなる代物。綺麗な女性たちに声を掛ければ直ぐにベットインで、二人はこの時代を堪能。そしてゲストを楽しませるために、二人を執拗までに付けまわし挑発する黒ずくめのガンマンの登場でスリルを味わわせます。もちろんこのガンマンは精巧にできたロボットのため人間に危害を加えず一方的にやられ役となっています。この仇敵ガンマンをユル・ブリンナーが演じることで、SF映画が一気に西部劇となってしまうところが凄い。黒ずくめのガンマンは、見た目や仕草がまったく「荒野の七人」のクリス。全身黒ずくめの様相しかり、ガンベルトに両親指を掛けて佇む姿、表情を見せない淡々として喋り方、そしてガンさばき。映画ファンとしては、もうたまりません。さらに眼光に光を帯びさせることで、人間でない何かの恐怖を倍増させています。ポスターやDVDの表紙もガンマンですから、当時からインパクトがあったのでしょう。

 そして、二人の男性とガンマンの表の世界以外に、バックヤードのシステム管理状態が並行して映し出されます。そこは大規模なコンピュータシステムと数多くのディスプレイでゲストをもてなすためにロボット達をコントロールするスタッフ。そして病院のようにベットに寝かされ修理を受けるロボットたち。そしてパーク運営の中で、最近故障率が上がっている情報が飛び交って、得体のしれない不安を感じされます。まずは、女性ロボットがゲストの誘惑を断りビンタ炸裂。はっ?と驚くゲストとスタッフ。やがてコントロールが利かなくなり暴走し始めるロボットたち。もちろんブレインとマーティンの身にも災難が降りかかってきます。それも死と隣り合わせた恐怖として。そして恐怖の執行者は黒ずくめのガンマンで、彼らを仇敵として抹殺するという指令だけで行動し、二人を付け狙います。姿だけでも怖いのに、遠く離れた息づかいをも聞き取る聴力機能と足跡の僅かの熱をも感知する赤外線アイ、そして抜群の狙撃機能で、ロボットなのにわざと弾を外して弄ぶかのように追い詰めてきます。さらに自分が破損しても気にもかけずに追いかけてくる姿はまるでターミネーター。最初はコツ、コツ、コツと足音を立てながら一定速度で近寄ってくるのに、ターゲットを捉えると途中から足早になって最後は走ってくる。こんな奴から逃れられないだろ・・・。「ジェラシック・パーク」原作者のマイケル・クライトンの脚本・監督で、ガンマンの顔が取れて下からロボットの顔が現れるシーンなど特撮の見せ場もあり、1970年代SF作品でも十分面白い。

最近「ウェスワールド」がドラマ化されたようですので、最新特撮技術が盛り込まれた映像作品を是非是非見てみたいです。

【映画予告編】 【ドラマ予告編】

1973年公開アメリカ作品。
監督:マイケル・クライアント
出演:ユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジェームズ・ブローリン
音楽:フレッド・カーリン

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7500



 ロサンゼルス発東京行きビスタパシフィック航空7500便が、乱気流で揺れが生じた後、一人の乗客が苦しみ吐血して救命措置の甲斐なく絶命してしまう。乗務員は遺体に毛布を掛けて隔離し平穏を保とうとするが、再び激しい乱気流に巻き込まれ低圧状態で酸欠になり乗客たちはパニックになる。やがて揺れが収まり、一人の男が回りを窺い亡くなった乗客に近付き、高級時計を奪い取り記念写真を撮るために毛布を剥がすと・・。



 管制塔のレーダに映る数多くの飛行機マーク。その1機のビスタパシフィック航空7500便に管制官が連絡を取ろうとすると、「死は命の一部・・1秒でも・・」と意味不明の返信。その頃7500便は乱気流に巻き込まれ、大きく機体は揺れ、宙を舞う乗客で機内はパニック状態。そこから時間は遡り4時間前の搭乗中へと切り替わる。おーっ、久々の飛行機パニック映画ですかね。「エアポートシリーズ」「乱気流 タービュランス」「スネーク・フライト」いろいろありました。この手の映画の特徴は、パニックという恐怖に加え、機内=密室で繰り広げられる人間模様です。この作品でも、パイロットと不倫しているCAローラ(レイリー・ビブ:アイアンマンのクリスティン役)、婚約1年半だけど元彼のことが頭から離れないで悩むCAスージー、NGな物は中華料理を食べている人・太った人・赤ん坊といい放つ妻のハネムーンカップル、関係がギクシャクしているのが分かるカップル、露出した肩にタトゥーがあるパンク女、離陸時にタブレットの電源を切らずに都市伝説といきがる男、妊娠したかもと不安がり妊娠検査薬持ち込む女性、CAに決して触らせずに大事そうに小型のボストンバックを抱え「目玉をえぐれ」と電話している男ランス・モレル。あまり有名な俳優さんは出演していませんが、パニックの準備は万端です。

 そして、離陸後の安定飛行中に乱気流の影響の揺れが生じ、その揺れが収まるとボストンバックの男が激しく苦しみ出し後、吐血して救命措置を行うが絶命してしまう。いきなり死亡者発生です。男が大事そうに抱えていたボストンバックが気になる、気になる。これから始まる何かの予兆を感じる前振りです。とりあえず、乗務員たちは遺体に毛布を掛け2階席に隔離しますが、乗客たちは吐血を見ているので、感染症を疑い不安でいっぱい。さらに何気に男の血が壁に付着していたり、暴れた際に抜けた歯が転がっていたりと、不安要素を残し煽ります。もしかしたら感染ウイルスものですかね。「ワールドウォーZ」にように感染が広まるのかも。ところが、そんな展開も許さず、いきなりペットボトルが萎み、カップの水が大きく振動して、体がふわりと浮いてそのまま乗客が天井に打ちつけられる。機内は白い水蒸気のようなものが充満して、上部からエアマスクが垂れ下がり、人々は慌ててマスクに手を伸ばすが、多くの人がマスクも取れずに意識を失ってしまう。とうとう来てしまったよ。絶体絶命状態が始まったよ。・・・。あれあれ、機体は元に戻り、呼吸は普通にできますと冷静な機長のアナウンスで、あっさりと元の平穏状態に戻ってしまいました。では、このまま残りは安全な旅をと行きたいところですが、いきがり男がこっそり遺体に近付き、高級時計ロレックスを拝借。でもロレックスには得体の知れない粘着物が付いていますが誘惑が勝りゲット。粘着物?不気味です。そして何を思ったか、ロレックスと遺体との自撮を敢行。調子に乗って遺体に掛けられた毛布を剥がすと、ンギャーと叫ぶいきがり男。そのまま男は客席には戻ることなく、心配になったCAたちが遺体のもとに男を探しに行くが姿は見えない。さらに遺体まで忽然と消えて、サスペンスものへと移り変わります。そして、戻らないいきがり男と異常な死に方をした男に不安を感じた2カップルが、死亡した男の素性を怪しみ、男の手荷物を漁るが分かったのは男の名前、さらに頑強にロックされた、あのボストンバックを手に取り無理やりこじ開けるとそこには・・・。と途中までは、なかなかいい展開だったのですが、呪怨の清水崇監督作品らしく、来るぞ来るぞと突然迫る衝撃ホラーへと移り、最後のほうは、どこかで見たことのある展開で、しゅーと気か抜けてしまいました。

【予告編】

2014年アメリカ作品。79分。
出演:ライアン・クワンテン、エイミー・スマート、レスリー・ビブ、ジェイミー・チャン、スカウト・テイラー・コンプトン、ニッキー・ウィーラン、ジェリー・フェレーラ
監督:清水崇
音楽:タイラー・ベイツ

カサンドラクロス



 国際保健機構にテロリストたちが潜入するが、警備官たちと銃撃戦となりテロリストが致死率の高い細菌を浴びてしまう。その一人は逃亡の末、大陸横断超特急に乗り込む。それを知った組織は特急列屋を隔離しようと今は使われていない施設に誘導するが、どの途中にあるのは崩壊寸前のカサンドラクロスと呼ばれる大鉄橋があった。そのことを知った乗客の抵抗が始まる。


 この映画は、鉄道パニック映画です。ワクチンが存在しない高致死率の細菌に感染したテロリストが、パリ・アムステルダム経由ストックホルムの大陸横断超特急に潜り込んだことから、特急内がバンデミックの危機に陥るストーリーです。ただ、これだけで終わらないのが、この映画の面白いところで、この細菌を封じ込めるために国際保健機構が採った手段は特急列車ごと隔離。これは、まあ、あたりまえの措置ですが、特急列車を目的地の隔離場所に走らせるのには、途中でカサンドラクロスと呼ばれる大鉄橋と通過する必要があり、この鉄橋は近くの住民たちが崩れ落ちると確信して逃げ出したおんぼろ大鉄橋。組織は、回復の可能性がない細菌感染者を列車もろとも大鉄橋とともに消滅させようとする企てをします。国際保健機構が黒幕とは、なかなか大胆な設定です。そして、一時的に停車させられた特急列車内には完全防護服と自動小銃で武装した多くの兵士たち乗り込み、すべての窓は溶接されてしまいます。これで乗客たちは、逃げ道なしの完全な密室状態で幽閉され、カサンドラクロスへと向かうカウントウントダウンが始まります。

 この死へのカウントダウンに気づき、強制的に捻じ曲げられた運命から抵抗する人々が登場します。精神科医チェンバレンこと、チャード・ハリス。70年代アクション映画によく出ていました。「ジャガーノート」、「オルカ」、「ワイルドギース」などなど。英国紳士だけど男らしさいっぱいで、近年では、「ハリーポッター」シリーズの初代ダンブルドア校長、ですね。そして、チェンバレンの元妻で売れっ子の女流作家ジェニファーには、ソフィア・ローレン。麻薬捜査官ハリーに、O・J・シンプソン。追われる麻薬売人ナバロに、マーティン・シーン。そして、彼らと対峙するカサンドラクロスへの死の計画の実行者は、国際保健機構のマッケンジー大佐こと、バート・ランカスター。キャストも豪華です。
その他にも、国際保健機構の一員だが患者治癒を推進して大佐と対立する医師や、ナチス収容所で妻子を亡くして隔離場所が収容所であった場所だと気付きパニックになるユダヤ人セールスマン。軍事企業の夫を持ち若い愛人と乗車する婦人。などなど、密室ストーリーとあって、キャラクター配置も抜かりありません。

 もちろん、細菌パニックの人間模様だけで終わりません。細菌の治療方法が見つけるために感染した犬と犯人を列車の外に出す必要があります。でも特急列車は停められないため、貨物室の横の搬入ドアから、バケットをヘリでリフトアップする作戦が採られます。作戦決行の場所は開けた郊外から山へと繋がる僅かな平野部。なかなかリストアップできずに、やがてトンネルが・・・とスリルいっぱい。さらに、カサンドラクロスへの死への道のりに抵抗する人々は、特急列車を停止させようと先頭車両へと向かいます。しかし、彼らを遮るのは武装した兵士たちで、容赦なく銃を向け発砲してきます。もちろん、抵抗側も反撃をして銃撃戦となりますが、なかなか先に進めず犠牲者も出て、刻々とカサンドラクロスが近づいていきます。そして彼らが選んだ最後の道は・・・。
いやあ~、この時代のパニック映画は面白い。

【予告編】

1976年公開。西ドイツ/イギリス/イタリア合作。
・監督:ジョルジュ・バン・コストマス
・出演:リチャード・ハリス、ソフィア・ローレン、バート・ランカスター、マーティン・シーン、O・J・シンプソン、
・音楽:ジェリー・ゴールド・スミス 【Main Title】





<日本の鉄道パニックえ映画>
海外では鉄道パニック映画作品は多いですね。一種の密室ですから、なにが起こっても逃げられない閉塞感が堪らないです。日本映画の鉄道パニック映画はというと、脅迫犯人が新幹線に時速80キロになると爆破する爆弾を仕掛ける「新幹線大爆破」(‘75)。自衛隊クーデータ部隊が寝台特急を占拠する「皇帝のいない八月」(‘78)。意外とないですね、でも、この2作品は面白いです。

アドレナリンドライブ



 同僚のいたずらでヤクザの車に追突してまった鈴木(安藤正信)は、事務所に連れて行かれ多額な賠償金を要求されるが、突然ガス爆発が起こり、事務所内はめちゃくちゃになりヤクザ達は死亡してしまう。たまたま爆発現場を通りがかった看護師静子(石田ひかり)は、怪我をしている鈴木を連れ出して救急車に乗り込む。しかし、そこには大怪我をしたヤクザ黒岩(松重豊)が大金の詰まったカバンを抱えて搬送されていた。やがて黒岩が暴れたことで救急車は川に飛び込んでしまい、どさくさに紛れて鈴木と静子はカバンを持って逃げだす。


 エンジンを掛ける音から、車の運転席からフロントガラス越しに前方を見る映像と軽快な音楽から始まる快適なドライブシーン。いやいや、カメラが車内に切り替わると先輩からなじられる後輩社員シーンとなり、やがて先輩がイタズラで手のひらで後輩の目を塞ぐと、目の前には赤い高級車で、ごっつん。高級車の窓から手をひらひらさせて脇へ停めろと誘導され、車から出てきたのは明らかにあちら系の人で、案の定、後輩君はそのまま怖い人に連れられて行きつく場所は事務所です。一方、病院のナースステーションで同僚に小馬鹿にされ、いいように使われる真面目で冴えない看護師佐藤静子。この後輩君と看護師静子が出会うのは、ガス爆発で死屍累々でめちゃくちゃ状態の事務所であった場所。二人が乗り合わせた救急車にカバンを抱えた大怪我のヤクザが搬送され、なぜか二人を外に蹴り出し、なぜか救急車を事故らせるヤクザ。そう、ヤクザが抱えていたカバンの中身は多額の札束で、二人は事故って川に沈みつつある救急車からカバンを取り出し何気ない顔で病院に運ばれ大金をゲット。この今までいいことが一度も無かったような冴えない二人の男女が、突然の大金を手にしたことから、嫌気がさしていた人生を捨てて逃走劇が始まります。後輩君の鈴木には安藤正信さん。看護師静子には石田ひかりさん。美男美女ですが、それを隠すほどの冴えないオーラがいい。先輩から挑発され、なじられても何も反論てきずに下を向いてしまう鈴木。髪がぼわーっと広がり大きなメガネをして、同僚の軽いノリにのれずに真面目を絵にかいたような看護師静子。でも内面は、今の状態から抜け出したい表情を時折見せる二人ですから、大金を手にしたことでその気持ちに火がついてしまいます。そして救急車と共に川に沈んだはずのヤクザが病院に運ばれ、ヤクザの弟分のチンピラたちが病院に見舞いに来て、大金を奪ったことがばれたことから、一気に暴走して逃亡。あとを追うチンピラと大怪我のヤクザ。このチンピラたちのガラの悪さ(なかなか悪)と、ちょびっと混じった間抜けさが、シリアスとコミカルを行き来させます。BGMは、「彼の車に乗って、真夏の夜を走り続けた。彼の車に乗って、さいはての町 私は着いた」と歌う平山みきさんの「真夏の出来事」で、この逃走劇が楽しいもののように思えてくるから不思議です。追いかけるワゴンの中でこの歌をノリノリで歌うチンピラたちを見てもやっぱり楽しそうかな。そして強面松重豊さんが演じるヤクザ黒岩も、婦長を買収して軽自動車で追跡開始。一方、逃げ切ったと安心したボロボロな二人は札束を片手にスイートルームに宿泊して、ドレスアップして高級レストランへ。髪をショートにして赤いドレスを着た看護師静子は・・可愛くなってしまいました。可愛い石田ひかりさんが登場です。冴えない看護師静子が弾け飛んでベットにダイブして飛び跳ねる姿や、恥じらいながらも少し積極的にキスする姿も可愛いですがね。そんなノンビリした二人ですが、まだまだ追手は諦めません。大金を狙うヤクザ黒岩と黒岩を裏切るチンピラたち以外に、金の匂いを嗅ぎつけた紳士面した怪しい男、とじわじわと二人へと迫っていきます。「ウォータボーイズ」「スイングガールズ」の矢口史晴監督作品だけあって、登場人物たちが個性的で、うまく絡み合うことで期待感を増します。そして、ワゴン車と軽自動車ながらカーチェースもありますし、二人に迫りくるサスペンスもありとなかなか見れました。ラストは鈴木と静子の二人と、ヤクザ黒岩と買収された婦長の二人と、徒労に終わったチンピラたちの結末が描かれ、BGMはやっぱり、「彼の車に乗って、真夏の夜を走り続けた。彼の車に乗って、さいはての町 私は着いた。・・・」。

【予告編】

1999年。112分。
・出演:安藤正信、石田ひかり、松重豊、角替和枝、マギー、徳井優
・監督:矢口史靖
・音楽:山本精一&羅針盤
・主題歌:羅針盤「アドレナリンドライブ」
・エンディングテーマ:平井みき「真夏の出来事’99

裏窓



 カメラマンのジェフリーズ(ジェームズ・スチュアート)は撮影中に骨折して自宅のアパートで車いす生活を余儀なくされる。一日中、暇な彼の楽しみは、窓の外に広がる向かいのアパートの人間観察であった。そんな日常風景のひとつに仲の悪い夫婦の姿があったが、ある日妻の姿が忽然と消え、大きな荷物を外に運び出し、包丁の手入れをする夫だけが窓の住人となる。ジェフリーズは、夫が妻を殺害して遺体を隠したと疑い始め、友人の刑事に相談するが相手にされない。しかし、夫の怪しい行動に日に日に疑いを強くするジェフリーズに、彼女のリザ(グレイス・ケリー)や看護師ステラが同調して、真相を突き止めようとする。


 窓を全開にして生活するアパートの住人たち。そして額に汗が噴き出して眠る男と華氏95度(摂氏35℃)の温度計が映し出される。やがて、男の顔から足へとカメラは移動して、そこにはジェフリーズの壊れた足と落書きされたギブス、粉々に壊れたカメラ、クラッシュするカーレースの写真、とカメラは移動して、最後は美女のネガ写真と雑誌の表紙。うーん、これだけで猛暑と、カメラマンらしき男がカーレース場で事故って骨折した様子がすぐにわかります。そして、有名な美女の彼女がいて、雑誌の撮影で知り合ったことも。さすが、ヒッチコック監督、オープニングだけで前置きの説明を終了させてしまうとは。

 車いすの男ジェフリーズが、暇潰しのために窓から見るアパートは、売れない作曲家、沢山の男たちから言い寄られる美女のダンサー、暑くてベランダにマットレスを置いて眠る夫婦、夫に罵声を浴びせる妻とこそこそ電話をしている夫、人生絶望のようなオールドミス、結婚したばかりの夫婦、水着で日向ぼっこしている年配の女性、と色々な人生をたっぷりと詰め込んだ住人達のアパート。そのひとつひとつの部屋の窓が、ジェフリーズを飽きさせず、楽しませるオムニバス劇場となっています。もちろんジェフリーズにも、実業家の美女の彼女と、世界を歩きまわるフリーカメラマンの、住む世界のギャップに悩む人生がここにもひとつあります。

 ある日、夫婦仲の悪い妻の姿が忽然と消え、何度もアパートの部屋から運び出される大きなトランクと何本もの包丁を手入れする夫に違和感を感じるジェフリーズ。まさか妻を殺害して運び出しているのでは、なんて考えも暇だから頭に浮かんでしまう。さらにアパートの中庭の花壇を馴らしている夫の姿を見て、妄想が疑惑に、そして確信へと変わってゆくジェフリーズ。すぐさま友人の刑事に相談するが、ただ呆れられるだけで、まともな捜査もしてくれない。そりゃ殺害現場を見た訳ではなく、推理ですかからね。でも普通ならありえないよな、と思うことでも、彼女のリザや介護をしてくれる看護師ステラが同調して、あれよあれよという間に、動けないジェフリーズを横目に彼女たちが暴走(ほとんど楽しんでいるでしょう彼女たちは)。男が出かけた隙に、花壇を掘り起こしたり、証拠を探そうとして部屋に侵入したり。そして案の定、男の姿がアパートの外に見えて戻ってくる。分かってはいるけれど、ドキドキ、ヒヤヒヤの展開です。このスリリングな素人探偵たちの活躍(?)の間にも、アパートの住人たちの人生劇場が続けられてゆく様は、上手いな。そして、ついつい、その劇場をジェフリーズと一緒に見られずには居られなくなります(すっかり観客)。こっちは、ジェフリーズと一緒に、日に当たらず、向こうからは見られないように隠れて見ているので安心。そんな安全な場所にいると思っていたら、ギロリとこちらに向けられる視線。ギブスをしているジェフリーズは動けない。さあ、サスペンスの第二幕です。

【予告編】

1955年公開アメリカ作品
・監督:アルフレッド・ヒッチコック
・出演:ジェームズ・スチュアート、グレース・ケリー、レイモンド・バー、セルマ・リッター、ウェンデル・コーリー
・音楽:フラッツ・ワックスマン

プロフィール

jurrin

Author:jurrin
映画大好き人間でやんす。日本映画好きでやんす。新旧問わず好きでやんす。
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